2013年度連携活動


  2012年度連携活動
  2011年度連携活動
  2010年度連携活動


九州産業大学経済学部特別講義報告

                         久保 由加理

日時:2013年11月9日(土)14:40~16:10
場所:九州産業大学1号館1階N101教室
講義テーマ:「和白干潟はみんなの宝(和白干潟の自然と環境保全活動)」
講師:山本廣子(和白干潟を守る会代表)
参加:九州産業大学経済学部学生など 70名と教授1名
(守る会の参加者:8名)
 九産大経済学部の宗像先生のゼミ生を中心に、九産大1号館1階の教室に多くの学生が集まり、山本代表の講義を熱心に聴きました。宗像先生より山本代表の紹介があり、次に山本代表より事前に配布されたレジュメに沿って、講義が始まりました。
 講義に入る前に山本代表は、クリーン作戦に参加して頂いている学生の皆さんへの感謝の言葉を述べました。それから、子どもの頃から和白干潟に親しんで過ごしたことや当時の和白干潟の様子、そして画学生時代は東京で過ごし再び故郷に帰ってきたときに和白干潟の埋め立て計画に直面し、「和白干潟保全」の請願書を福岡市議会に提出したこと、1988年に「和白干潟を守る会」を発足したことを説明しました。
  
    
<講演のようす1>              <講演のようす2>
 次に、パワーポイントを使って和白干潟の説明がありました。和白干潟は渡り鳥の越冬地や中継地である貴重な干潟であること、自然の浄化作用の場であること、環境悪化・自然破壊の進行が起こり、環境問題についての学習の場でもあることを説明しました。和白干潟の風景、渡り鳥や干潟の生き物、植物を詳しくじっくりと説明しました。
 守る会の活動の説明では、自然観察会やクリーン作戦の様子、生物調査、通信の発行など画像を使って説明しました。ラムサール条約登録の署名活動や行政とのかかわりの説明では、ラムサール条約登録候補地に選ばれて10年近く経つのになかなか登録されないことや、荒尾干潟は荒尾市長の理解もあり候補地からわずか2年で登録されたこと、開発推進派である福岡市との関わりなど、ままならない現状を語りました。
 また、海底湧水の様子をテレビ映像で見てもらいました。人工島開発で沖合が埋め立てられたにもかかわらず、酸素を多く含む湧水が和白干潟の海水を浄化しているため、底生動物が住みやすい環境であることを説明しました。
 山本代表は終わりに、きりえ作品や絵葉書や絵本に込められた思いを語り、和白干潟の素晴らしさを広めたい思いや守って欲しい気持ちを伝えました。そして、学生の皆さんに自分のできる自然環境の保全活動をして欲しい、自分のふるさとの自然や身近な自然を守って欲しいと訴えました。
最後に質疑応答の時間を取り、特別講義が終了しました。この講義を通して一人でも多くの学生の皆さんが和白干潟に足を運んでいただけたら嬉しいと思います。また、保全活動を一緒にできるようになれれば、幸いだと思います。


「唐原川源流探索」参加報告

                         松田 元

日時:2013年10月27日(日)10:00~14:00
実施場所:立花山
主催:唐原川ラボラトリー 後援:山・川・海の流域会議、東区役所企画振興課
参加者:8名:守る会4名
 10月27日(日曜日)は澄み渡る秋晴れの一日、和白干潟に多くの恵みを与えて
くれる唐原川の源流を探して、立花山の頂上まで登りました。

 今回は好天にもかかわらず参加者が7名(途中から1名参加)と少なく残念でしたが、参加された皆さんは熱意と好奇心の塊で、予定していた通常の立花・三日月登山コースを避けて、渓流に沿っての直登を試みました。

台風27号の影響で渓流を流れる水も多く、水音と鳥の声を聞きながら、倒木や枯れ枝を避けながら、道無き道を上に上にと進んで行きました。途中どうしても渓流に沿って進めない場所まで来て、やむなく迂回しましたが、急な坂を木や枝に掴まりながら、立花山頂上を目指しました。
  
    
<源流探索中>               <立花山頂にて全員集合>
 守る会の参加者は、今回唯一の女性の山本代表と山之内さん、そして何と坊薗さんが
最後まで一緒に登られました。立花山頂上では、多くの登山者が弁当を広げ、賑わっていました。私も約2年ぶりの立花山頂上でおいしい弁当と空気と景色を堪能しました。

 今回は残念ながら源流を見ることが出来ませんでしたが、近くまでは行く事が出来、
通常行けないコースを探索し、地理的に発見することも多かったです。
全員怪我無く、無事下山できて良かったですが、その後は足がしっかりこわっています。
参加された皆さん、お疲れ様でした。


和白干潟のエコチャレンジ「アオサのお掃除大作戦!!2013」(2回目)参加報告
                         山之内 芳晴

◆日 時 : 2013年10月6日(日) 14:30~16:00  晴れ
◆主 催 :「和白干潟保全のつどい」
◆場 所 : 和白干潟・海の広場沖
◆参加者 : 21名(一般参加:11名、福岡市港湾局:2名、WF:1名、循生研:2名、守る会:4名、藤井氏)
◆アオサ回収量 : 76袋

2013年第2回アオサのお掃除大作戦が10月6日、海の広場で行われました。最初に九州環境管理協会の藤井氏からアオサは焼きそばに振りかけられる青のりに使用されていること、1日に1.3倍増殖し、10日で10倍になること、9月が一番元気であることなど、アオサについての話しがありました。
その後、沖合に行き全員でアオサの回収に入りました。アオサをかき集めていると、砂の中から飛び出して干潟の表面にいるアサリがたくさんいました。藤井氏の話しによると、アオサが腐り始めることで、海水中の酸素がなくなり、アサリが苦しくなって砂の中から飛び出しているとのことでした。
藤井氏がそりの半分位のエリアの貝を収集してみたところ、20数個のアサリがいましたが、その2割位は死んでいました。ユウシオガイも6個いましたが、ユウシオガイは全部死んでいました。アオサが腐敗することで、アサリが死ぬ、毎日このようなことが繰り返されているかと思うと、アオサの害は本当に大きいなと思うと同時に、それでも生き延びるアサリの生命力はすごいと思いました。
  
   
<アオサ回収光景>             <仮置き場で記念撮影>
仮置き場で記念写真を撮った後、全員でリヤカー、一輪車、そりなどを使ってゴミ置き場まで回収したアオサを運びました。その後、海の広場でコカコーラさんやイオンさんが提供してくれたお茶やお菓子をいただきながら、循環生活研究所の波多野さんからアオサを利用したアオサ堆肥づくりについてのお話しを聞きました。
前回に比べて、参加者は少なかったですが、前回のアンケートの意見を反映して、回収時間を長くしたことや、参加者のがんばりなどで、76袋のアオサを回収できました。


和白干潟のエコチャレンジ「アオサのお掃除大作戦!!2013」(1回目)参加報告

                                     山之内 芳晴

◆日 時 : 2013年9月21日(土) 14:30~16:00  晴れ
◆主 催 :「和白干潟保全のつどい」
◆場 所 : 和白干潟・海の広場沖
◆参加者 : 約92名(一般参加:74名、福岡市港湾局:2名、WF:1名、循生研:8名、守る会:6名、藤井氏)
◆アオサ回収量 : 130袋(1,000kg)

2013年第1回アオサのお掃除大作戦が9月21日、海の広場で行われました。今日はイオン・チァーズクラブの子どもたち59名を含め、全体で92名の参加があり、アオサ130袋を回収しました。今年は回収したアオサの仮置き場をもうけ、回収が終わった後、全員でゴミ置き場まで持ち帰る方法で回収することにしました。
雲一つない快晴のもと、藤井さんのアオサの説明が終わったあと、沖合いの回収場所に向かいました。アオサは余り多くはありませんでしたが、沖合は一面アオサで覆われていました。30分ほど全員でアオサを回収。子どもたちもアオサをネットに入れ、そりに積んで仮置き場まで運んでいます。そりに3袋も積んで運ぶ子どももいました。
  
    
<アオサ回収光景>             <回収後全員集合>
その後、仮置き場に集まったアオサを全員でリヤカー、一輪車、そりなどを使ってゴミ置き場まで運びました。回収作業が終わった後、子どもたちは藤井さんと一緒に干潟の生きもの観察へ、その他の人はコカコーラさんやイオンさんが用意してくれたお茶やお菓子を食べながらしばらく歓談しました。
今回、アオサの回収場所とゴミ置き場の中間に仮置き場をもうけたこと、全員で回収し、全員で運搬する方法にしたことはうまく行ったようで、運搬に何回も往復するようなことはなかったようです。
イオン・チァーズクラブの子どもさんたち、元気でよくがんばっていました。アオサ回収の後も干潟の生きもの観察など、真夏のような秋の干潟を楽しんでいたようです。
アオサを回収している時、集めたアオサに生きているアサリが混じっていました。上がアオサで覆われたことで、砂の中から飛び出してきたようです。今年はアオサの発生量は多くはありませんでしたが、それでもアサリにはダメージを与えているようです。


「国指定和白干潟・多々良川河口鳥獣保護区の指定に係る公聴会」報告
                          今村 恵美子

日時:2013年9月4日(水)14:00~15:00
場所:福岡市博多区博多駅東福岡合同庁舎本館8階会議室
参加者:公述人7名(福岡県知事代理、福岡市長代理、市東部農業協同組合長(欠席)、市漁業組合長代理、県猟友会長、日本野鳥の会福岡支部長、和白干潟を守る会代表山本)傍聴12名(守る会5名、博多湾会議:荒木市議、WF:松本、自然環境復元協会:土谷ほか)事務局(議長、司会含む)5名、取材記者3名(朝日、毎日、西日本)

 今年10月31日で国指定鳥獣保護区の指定期限が切れる和白干潟に、新たに多々良川河口を加えて鳥獣保護区指定をめざす環境省の公聴会が開かれ、意見書を出した市民の代表として山本代表が公述人として選定され、意見を述べました。議長は九州地方環境事務所の統括自然保護企画官杉田氏、司会は九州環境事務所野生生物課田中氏でした。
 8月5日までの指定計画案の縦覧で意見書を出した人は8名(山本代表はじめ守る会8名)との報告があり、パブリックコメントは9月7日まで募集中です。続いて法令説明、案件についての資料説明の後、公述人の意見陳述に入りました。7名の公述人のうち福岡県知事、福岡市長、福岡市漁協組合長は代理、東部農協組合長は欠席で、公述人は起立して意見を述べ、保護区指定に反対の意見はありませんでした。主な公述人の意見は次の通りです。
<市長>
 賛成だが、周辺農地の鳥による食害の被害対策に努めること。基盤整備事業との調整を図り、博多港港湾計画、エコパークゾーン事業などの整備や保全など、将来の支障とならないことを求める。
<東部農協>
 賛成、意見なし。(欠席のため、議長が意見書代読)
<日本野鳥の会福岡支部長>
 賛成。該当地区は貴重なところで後世に残したい。
<和白干潟を守る会>
 賛成だが、①将来的に早い時期に「特別保護地区」にして、ラムサール条約に登録してほしい。②和白干潟の重要性を市民に周知するために、保護区の看板をしっかりしたものに立て替えてほしい。③自然保護団体や一般市民が参加できる地元懇談会を開催してほしい。

これらの意見に対して、質疑応答があり、司会が公述人の意見に対し、以下のように答弁しました。
・ 市の意見に対して、都市基盤の整備、海岸整備については支障が出ないようしていきたい。
・ 守る会の意見に対して、特別保護地区については、国際的に重要なので今後の課題。地区住民の理解を求める。看板は市の港湾局の案内板があるので省いた。予算問題もある。地元懇談会は、周辺農地の食害に関して設置されており、別には設ける予定は無い。意見があれば個別、他団体と一緒に来てくれれば相談に応じる。市民の意見はパブリックコメントで出してほしい。
 この後、傍聴者からの意見を聞く時間もあり、荒木市議が和白干潟を特別保護区とし、ラムサール条約登録への環境省の努力を求め、農業者、市民に理解を得る懇談会を開いてほしい、福岡市には荒尾干潟のラムサール条約登録が街づくりの起爆剤となっていることを紹介し、市も努力すべきと意見を述べました。九州大学の学生からは名島海岸、香椎海岸も含め、東部海域全体の保全を求める意見がありました。
以上で、公述人からの意見を聞く公聴会は終了し、鳥獣保護区指定に向けた法的な手続きが進められます。

     
<公聴会の様子>
 パブリックコメントを9月下旬に取りまとめ、10月国の環境審議会にて協議・決定され、11月に官報で告示ということになります。
 和白干潟を守る会は特別保護地区に指定してほしいのが一番の要望ですが、現実は厳しく、課題として先送りされました。それには、特別保護地区に指定されると、更なる開発や公共事業を規制されることに危惧を抱く福岡市の意向が強く反映されていることがよくわかりました。市民へ保護区の大切さを知らせる看板の設置にどれほどの費用がかかるというのでしょう。
 また、保護地区に農地は存在しないにもかかわらず、周辺農地の鳥(カラスやヒヨドリ)による食害が地元懇談会で報告され、地元の理解が得られていないという判断ですが、農協が公聴会に欠席されていては質問もできませんでした。懇談会を市民参加で、オープンな議論の場に改めようという守る会の提案が取り上げられないことに憤りを感じざるを得ませんでした。この公聴会の議事録も公表を求めましたが、公開されることはないとのことでした。
 マスコミも、ラムサール登録を目指す前提となる特別保護区への昇格については関心が高く、3社が取材に来ましたが、5日の西日本新聞と朝日新聞朝刊には記事が掲載されていました。


平成25年度第1回エコパークゾーン水域利用連絡会議報告
                       山之内 芳晴

日時:2013年8月2日(金) 14:00~16:30
場所:福岡市港湾局8階 会議室
参加者:19名(委員9名、事務局2名、傍聴者8名)
参加メンバー9名:
福岡市東区香住ヶ丘校区自治協議会、福岡地区小型船安全協会、PW安全協会九州地方本部福岡支部、和白干潟を守る会(山本代表)、福岡市漁業共同組合、福岡海上保安部、福岡県ウェイクボード協会(2名)、福岡市東区区政推進部企画振興課、事務局(港湾局理財課)2名
傍聴者 8名(守る会から2名が傍聴)

議題(審議事項及び意見交換)
1.平成25年度第1回海上安全指導パトロール実施報告
 7/28(土)に実施した海上安全指導パトロールの結果報告があった。海の中道大橋を超え、和白海域に進入しているウェイクボードがあり、違反者に対してルール遵守の協力依頼を行ったと、事務局から報告があった。この後、各委員から和白海域へのウェイクボードの進入に関して、色々な意見が出された。
(PW保安協会)
 照葉地区まで進入しているウェイクボードもあった。免許は持っているが、海事知識はほとんど持って持っておらず、見つかっても悪いという意識はないようだった。
 竹田委員からは、お互いを尊重しあう利用のあり方が必要との意見が出された。ウェイクボード協会に対しては、和白海域に進入しているソーイング業者に対して、指導が可能であればして欲しい。
(和白干潟を守る会)
 日頃見ていて10分おき位で和白海域にウェイクボードが入ってきている。条例などで規制すべきではないか。
 ※港湾局から港湾局の方に通報していただければ現地に赴き指導したいとのこと。
(福岡市漁業共同組合)
  今まで海上安全指導パトロールをやってきたが、ほとんど改善していない。市の方で条例などで法制化しないかぎり進まないのではないか。現状では海上保安庁も取り締まりは出来ないので、取り締まりの対象になるようもう一歩進んだやり方が必要ではないか。
 ※港湾局から琵琶湖と北海道(海水浴場)に条例の事例があるとの回答があったが、福岡市としては、
  条例などの規制ではなく、もう少し意識を高める活動を続けたいとのことだった。
(福岡県ウェイクボード協会)
  大会などを開き、その時に集まった人たちにルール周知を測って行きたい。

傍聴していての感想

 和白海域に進入するウェイクボードがなくならないのは相変わらずで、進入しているウェイクボードは、ウェイクボード協会に所属しないソーイング業者のものであることから、海上安全パトロールなどでの指導ではなくならないと思った。委員の中には、条例などで規制しなければ効果がないという人。ウェイクボード協会に対して所属していない業者であっても指導が可能であれば指導して欲しいという人もあり、福岡市は条例設定に消極的であるが、違法ソーイング業者に対する働きかけなどが行われ、それでも相変わらずということであれば、当連絡会議でも条例化の方向に進むのではないかと思った。(腰が重い福岡市も条例化に決断しなければならない時が来るのではと思った。)

2.平成25年度第2回海上安全指導パトロールの実施予定について

 平成25年度の第2回海上安全指導パトロールが以下の日程で計画されているとの案内があった。計画日が守る会の定例会議と重なっていることから、山本代表から次年度からは第4土曜日を外して計画してもらいたいとの要望があった。
   集合時間 平成25年8月24日(土) 9:00
   ※エコパークゾーン内における指導時間 9:30~10:30
   集合場所 福岡マリーナ(福岡市東区大岳四丁目2番61号)

3.福岡県ウェイクボード協会の大会について
 9月29日(日)、エコパークゾーン100m水域で計画している「アイランドシティWAKEBOARD CONTEST2013」の大会概要説明があり、エコパークゾーン水域利用連絡会議に対して、後援承認の申し入れがあった。(大会案内を修正して事務局へ提出)

4.海の中道大橋付近のブイ設置等について

 海上安全指導パトロールに当たられていた海上保安官が、私的に作成された「水域利用のルール見直し案」が示された。案の一つとして、海の中道大橋付近にウェイクボード曳航船の回頭エリアの確保とブイを設置するという案があり、その説明があった。本件に関しては、ウェイクボード協会と事務局とのあいだで検討するとのことだった。


和白干潟生きものやハマボウを見る会 報告
                             河上 律代

日時:2013年7月21日(日)14:00~16:00大潮(干潮14:49)天候:晴 気温35.5度
観察場所:和白干潟海の広場~牧の鼻海岸
講師   藤井暁彦氏(九州環境管理協会) 
主催   和白干潟保全のつどい(和白干潟を守る会、ウエットランドフォーラム、循環生活研究所、福岡市港湾局環境対策課)
参加者:57名(大人31名と子ども26名) 和白干潟を守る会10名

 牧の鼻の下のハマボウの花が年を経るごとに沢山の鮮やかな黄色い花を咲かせ、私たちを招いています。この会は和白干潟を守る会で2007年から取り組んできましたが、2010年からは「和白干潟保全のつどい」主催となり、多くの市民の皆さんの参加で素晴らしい会になりました。
 
     
<開会の挨拶>              <カニを観察>
山本廣子さんの開会の挨拶は和白干潟の紹介からはじまりました。観察ポイントを①海の広場周辺 ②唐の原川左岸 ③牧の鼻ハマボウと移動がスムーズにいくように、事前に旗を立ててありました。藤井先生はスコップを持ちながら、貝とカニを次々に見せていきます。なかでも②の所でシオマネキとウモレベンケイガニの出現には驚きました。子どもも大人も生きものたちに接すると楽しそうに笑顔があふれます。
 
   <ウモレベンケイガニ>              <シオマネキ>
「こんなにカニが多いとは思わなかった。」と参加者の声です。沿岸のハママツナやハマニンニクなどの植物も見てもらいながら、歩きました。手作り観察マップが各人に配布されており、参加者は生き物をチェックしながら、楽しんでいました。
 
      <シバナ>              <ハマボウの計測>
牧の鼻ではハマボウの花が満開を少し過ぎたくらいでしたが、まだまだたくさんの花が咲いていました。ハマボウの木の前で皆で記念写真を撮りました。牧の鼻の樹木は多種の木々が生い茂り、カラスザンショの実は鳥たちの好物ですと田中さんのお話でした。タブの大枝にぶらさがって、子どもたちは大喜びでした。滅多にこんな経験はないでしょう。このように多くの生きものたちを観察するたびに、この和白干潟は「貴重な宝庫」だと確信します。最後は清掃をして周囲はすっかりきれいになりました。
 
     <ハマボウ>                  <記念写真>
猛暑の中で、熱中症が心配されましたが、観察ポイントでは水を飲むよう促して、一人も熱中症の人は出ませんでした。夏休みの子供たちの心に、生きものにあふれた和白干潟の様子が残ることでしょう。読売新聞「かわらばん」の同行取材がありました。

●ゴール地点のハマボウの大きさは? 親木の周りの大きさ:24.4m  親木の高さ:約5m
                  親木の花の数:約750個   株の数:約80本
●生き物:コメツキガニ、マメコブシガニ、オサガ二、ケフサイソガニ、アシハラガニ、ハクセンシオマネキ、ウモレベンケイガニ、ユビアカベンケイガニ、ハマガニ、クロベンケイガニ、ヤマトオサガニ、シオマネキ、ウミニナ、ホソウミニナ、オキシジミ、アサリ、ソトオリガイ、サルボウガイ、オオノガイ、カリガネエガイ、アマガイ、スガイ、マテガイ、マガキ、イソテッポウエビ、フナムシ、ハマトビムシ、トビハゼ
●植物:ハマニンニク、ハママツナ、ハマウド、シバナ、イソホウキギ、ハマボウ、センダン、タブ、ハゼ、カラスザンショ、クスノキ、アカメガシワ、ヤマザクラ、シイ
●海藻:アオサ、オゴノリ


第16回 「はまぼう夢まつり」 参加報告
                池田 尚美

日時:7月13日(土)9:30~12:00
会場:糸島市し尿処理センター会議室およびその周辺
主催:泉川はまぼうの会
参加者:150名(いとしま市民大学、泉川はまぼうの会)
守る会からの参加:2名

 8:00にきりえ館に集合し、泉川ハマボウの会の有村さんに車で迎えに来てもらいました。交通は至ってスムーズで40分ほどで会場についたので、川沿いの見事なハマボウ並木を観察する事ができました。抜けるような夏空の下、レモン色の花を大量につけた並木は遠くからでもよく見え、まるでミカンの木のように見えました。糸島シンボルの可也山の緑をバックに、ハマボウの花の黄色のベルトが彩る美しい風景でした。
 9:00頃会場入りし、講演のための機器の確認の他、スクリーンの下にスペースがあったので守る会のパンフレットや干潟の絵本、「守ろう!和白干潟」のメッシュベスト、ハマボウの切り絵などを展示しました。
 9:30より塩川会長より開会の挨拶と守る会山本代表の紹介があり、講演がスタートしました。山本さんはおなじみの干潟のいきものの手袋を付け、まず自身の生い立ちと和白干潟の関わりから保全活動を始めるまでのいきさつを語りました。参加者は高齢の方が多いですが、子連れの若い親世代の方もいます。山本さんの話を熱心に聞いているようでした。
 
  
<山本代表の講演のようす>         <ハマボウを背景に>
 続いて、和白干潟周辺の多彩な鳥、固有の植物、豊かな海の生物の紹介をしました。写真を見ただけではちょっと伺えない、豊かな干潟の生態系を参加者のみなさんに伝えられたと思います。その後クリーン作戦や干潟まつり、小学生を対象にした観察会など、地域の人々がこうした活動に直接触れ合えるイベント運営について話しました。

 そして、ラムサール条約登録に向けた守る会の活動を報告しました。今までの取り組み、市など行政への働きかけや、同じ九州の荒尾干潟がすでに条約登録地になった事を上げ、和白干潟のラムサール登録への意欲はもちろん、自然環境保全の大切さを参加者に伝える内容になったと思います。泉川のハマボウ群落地も貴重な自然環境として保全されるように、様々な工夫をしてほしいと山本さんは話しました。
 講演終了後は、水質調査や運営資金の質問などがあり、参加者の方々もこの講演会に非常に関心を持っていただけたのが分かりました。

 この後10:50頃、糸島市長から感謝の言葉をいただきました。市長は原発最稼働の現状を憂いつつも、市民が行政の方針にただ一喜一憂するのではなく、自分で自分を防衛するために非常事態への意識を高く持つように喚起しました。環境保全活動も同じく、地元に住む市民の小さな危機意識から、行政に影響を与えていくものなのかも知れませんね。

 
    
<フラダンス>              <和太鼓の出し物>
 11:00、屋外でフラダンスや和太鼓の出し物がされました。糸島市のキャラクターのイトゴンの着ぐるみ(炎天下の中おつかれさまです!)子供たちもはしゃいでいました。フラダンスの方々は本物のハマボウの花の髪飾りを付けていましたが、ハマボウのレイ(首飾り)は一つ一つ手作りの折り紙製でした。本物のハマボウは花輪に向かないので手作りなんだそうです。この折り紙でつくったハマボウは、山本さんが講演をした際も、名札と一緒につけていました。和太鼓は糸島農業高校の生徒たちの演奏で、とても勇壮なものでした。出し物の後、参加者のみなさんに甘いスイカがふるまわれました。入道雲がならぶ夏空の下でとても暑かったですが、地元の人々との交流ありの大変楽しいイベントでした。この美しい泉川のハマボウ群落地を、ずーっと未来にも守り続けて行ってほしいと願いました。

 12:30にタクシーが来て帰途につきました。行きと同じ約40分で到着し、糸島との近さを感じます。きりえ館前で下車し、解散しました。


唐原川お掃除し隊 河口(外輪崎橋周辺)グループ活動報告
                    池田 尚美 

2013年5月18日(土) 10:00〜11:15 晴れ
参加者 41名(守る会14名)
 唐原川お掃除し隊は唐原川を3つの区域に分けて清掃しました。このグループは和白干潟を守る会と楽友会メンバーと唐原町内会の方々が主に参加して行いました。9:50に外輪崎橋横に集まり、唐原川を考える会の中山さんの説明を受けて、清掃を開始しました。上流は495号線近くの柳ヶ坪橋のブロックが敷き詰めてある付近から、下流は貝塚線が通る浜田橋より手前の約400m間(※googleマップで計ってみました)を、橋を区切りに2グループに分かれて清掃しました。
  
   
<川底のアシ原を清掃>              <川底を清掃>
 川の中は、アシ原に隠れて、ポイ捨てされたと思われるビニール袋やペットボトル、空き缶が大量に見つかりました。水のあるところは急に深くなっているところが多く、水が濁ると足元が見えなくなるため、胴長を来た人たちにゴミを拾ってもらいました。川底に沈んだ自転車を鉤付きロープに引っ掛けて引き上げるなどして、粗大ゴミを協力して除去しました。
  
      <川底を清掃>             <川底のキアシシギ>
 天気もよく、大人数が協力して行ったので、短時間で大量のゴミを集める事ができました。予定よりも早い11時過ぎに一同で記念写真を撮り、解散しました。
 清掃中も、シギやサギ、魚、カエル、カメ、カニなどの生物をよく見かけました。これらの生物にとって良い環境をつくる一助になればと思います。また唐原川のゴミは、大雨の後に和白干潟に流れ着きます。唐原川のゴミが拾えて、大変嬉しく思いました。
  
   
<拾い集めたゴミ>              <記念撮影>
【成果】
可燃ゴミ 40袋  不燃ゴミ 土嚢に10袋
そのほかに、自転車2台、バイク1台、壊れた雨どい、カサ、鉄製のパイプ、木の枝など

【参加者の声】
・意外とたくさんあった。
・酒のカップが多かった。
・ゴミはアシ原のところに大量に隠れていた
・土手の上にもたくさん落ちていた。
・川底の泥に長年埋もれていたようなゴミを引っ張り出すのは、大変だった。
【生物】
・キアシシギ 4 ・ダイサギ 1 ・コサギ 1 ・カワラヒワ 1
・魚、フナなど ・ウシガエル ・カニ ・ニホンイシガメ(?)2 ・アカミミガメ 5
【植物】
・アシ・ガマ・セリなど



日本湿地ネットワーク(JAWAN)講演会関係者の和白干潟見学会報告
  山本 廣子

日時:2013.4.7(日)9:30~14:30
場所:和白川河口~海の広場~アシ原~砂洲~唐原川河口~きりえ館
参加:JAWAN講演会関係者 9名、守る会 6名、毎日新聞記者(関東)

 昨日からの雨に今朝は強風も加わって荒天です。9:30に亀の井ホテルロビーに守る会の車3台が集合して、JAWAN講演会関係者を和白干潟に案内しました。JAWAN代表の辻さんも車いすで参加されました。吉田さんが介助で付き添っておられます。小雨でしたが和白川河口で車を降り、海辺に降りて遠い沿岸にいる60羽のオバシギの群れを確認しました。


 <和白川河口でバードウオッチング>
 堤防の道に上がり、塩浜の干拓の歴史や塩田跡が畑地になった経緯などを説明しました。堤防の改修では干潟が6mも埋められるので反対したが工事を押し切られたこと、護岸上に港湾局がきりえの案内板を作ったことなどを説明して見てもらいました。そこから見える人工島や雁ノ巣にかかる橋を紹介。畑地の作物はハカタネギが青々と育っており、奈多イモもおいしいことを紹介しました。
 10:15頃にきりえ館に向かい、守る会の3名と合流しました。昨日の講演会を取材して翌朝の毎日新聞に記事を掲載した毎日新聞記者も参加。きりえ館に荷物を置き、出かけようとすると「ヒョウが降っている」と外の様子を伝えられ、少し待つことにしました。2階のギャラリーに展示しているきりえ作品を鑑賞いただき、お茶を飲みました。


    <きりえ館ギャラリーにて>
 天候が回復したので干潟に出かけました。雨上がりですがすがしく海の広場では、遠くから見たオバシギの群れが良く観察できました。他にはホウロクシギやセグロカモメ、オナガガモ、マガモなどがいました。木々やアシ原から海へと続く自然の海岸線に見学者は感動していらっしゃいました。昨日の講演会で佐藤先生が「干潟本来の自然海岸は干潟へ山の地下水を供給しており、干潟を健全で豊かにしている」と話されましたね。干潟の沿岸にはハママツナやホソバノハマアカザやホコガタアカザなどの小さな新芽がたくさん出ていました。植物を紹介しても皆さんが強く興味を持って見てくださるので、大変嬉しかったです。ハマサジやハマニンニクの穂、シオクグの穂が出ている様子を見ました。
 アシ原の中道には大きなカニの穴が空いていました。クロベンケイガニがちょっと顔を見せました。ハマエンドウの花が咲きだしていました。砂洲に出て唐原川河口まで佐藤先生と助手の大崎さんがスコップで干潟をあちこち堀り起こしてゴカイを採取しました。チロリの仲間、コケゴカイなど数種類のゴカイを採取しました。時間がせまってきたので、海側を通って帰路につきました。

 
  <ゴカイ調査光景1(唐原川河口)>   <ゴカイ調査光景2(唐原川河口)>
 きりえ館で昼食の弁当を食べながら懇談しました。佐藤先生はゴカイをアルコールにつけて、見せていただきました。チロリの仲間のゴカイの口や牙などを初めて見ました。小林先生からは昨日講演いただいた中の「和白干潟のラムサール条約の国際基準を充たしているのは、3項目ではなく4項目です。」と言われた件を聞き、詳しく教えてもらいました。これはとても嬉しいことでした。環境省のHPで再度確認してから、認識を改めなければ思っています。お二人とも、もう最初にお会いしてから15年以上になります。佐藤先生は諫早が締め切られる頃のシンポジウムに参加した時にお会いしました。和白干潟を守る会のガイド講習会でも講師をしていただきました。小林先生はスイスのラムサール事務局に日本から出向されている頃に、博多湾市民の会で守る会が活動しているところに来てくださったのです。それ以来和白干潟通信をラムサール事務局に送り続けました。小林先生はそれを英訳して紹介してくださっていました。釧路公立大学の先生になられた後で、今村さんたちと北海道を訪問した折には釧路湿原の案内など、大変お世話になりました。食後に皆で「ミヤコドリ」の歌を合唱しました。
 今回のJAWAN総会と講演会、和白干潟見学会はとても実り多い企画でした。最初の打ち合わせの時にはJAWAN事務局の意向がなかなか理解できずに心配がありましたが、会って話すことができれば理解しあえるものだと思いました。他の湿地の現状報告も興味深く聞けました。ラムサール条約登録地になっても、なかなか保全されていない湿地があることもわかりました。ラムサール条約登録は保全のための1歩ですね。あきらめずに保全活動を続けていくことが大切です。佐藤先生も諫早の復活を訴え続けておられます。そして日本各地の干潟を応援していらっしゃいます。


      <海の広場にて>
 最後に参加者を人工島内を通ってJR香椎駅まで送りました。今回はJAWANや講演者の皆さんに和白干潟を応援してもらったようなイベントでした。JAWANの皆さんや講師の方々に感謝いたします。皆で協力してイベントのお世話をした和白干潟を守る会の皆さんも、大変お疲れ様でした。


講演会「日本の湿地を守ろう!」(2013年干潟・湿地を守る日参加行事)報告
                             中嶌 伸子
※詳細報告

日時:2013年4月6日(土)13:30~16:50
場所:和白地域交流センター(コミセンわじろ)
参加者:50余名(和白干潟を守る会事務局17名

 講演会は日本湿地ネットワーク山内美登利副代表の挨拶のあと、下記の通り講演や報告があり、決議も採択して盛況のうちに終了しました。
◆ 和白干潟のラムサール条約登録を目指して(和白干潟の現況と展望)
              和白干潟を守る会代表 山本廣子さん

 和白干潟のそばで生まれ干潟埋め立て反対の請願を提出し、1988年には守る会を立ち上げた後、全面埋め立てから島形式の埋め立てに計画変更があった。以後25年以上にわたって干潟の保全活動を続けている。映像を使って和白干潟の位置、活動の様子、干潟の生き物や飛来する鳥たちや、ラムサール登録地の対象としての和白干潟の現状について紹介。昨年秋からラムサール条約登録を目指す署名活動を始め、今年に入っては市長と懇談する機会があり、ラムサール条約登録をアピールすることができたので少し希望を持っている。
 また、今回日本湿地ネットワークの総会で「和白干潟のラムサール条約登録の早期実現を求める決議」をあげてもらい、心強く思っている。

◆講演「干潟・湿地の重要性と生物多様性」
        鹿児島大学教授 佐藤正典さん
ゴカイの研究で全国の干潟をまわっており、和白干潟には20年前に来たことがある。和白干潟は富栄養化でアオサが堆積し大変な状況ではあるが、これだけアサリがとれるということは博多湾の中で孤軍奮闘していることがわかる。博多湾も和白干潟があるから恩恵をうけている。日本ではそんな場所がどんどんなくなっている。和白では小規模とはいえ陸地と海が連続性を保っている。コンクリートで仕切られていないというのが一つのモデルケースとなっている。これに緑との連続性があれば理想的である。
 最近の研究では伏流水の重要性が指摘されている。泥は汚いととられ泥干潟は危機的な状況にある。泥干潟に絶滅危惧種が多い。大分県の中津干潟や諫早湾の紹介があり、諫早湾の復元は多くの絶滅危惧種を救うこと、そしてそれが漁師さんの生活を守ることにつながっている。
 最後にウナギの話があり、干潟を守ればウナギが守れる、干潟減少とウナギ減少は関係している。干潟についてはまだまだ知らないことがある。全部わかるまで待っていては干潟がなくなってしまう。諫早湾を取り戻すことが全国にとって重要なことである。佐藤さんのゴカイの研究を通しての干潟の役割の重要性、失われた干潟の大きさについてのお話しは改めて心に響いた。

◆講演「ラムサール条約入門」~和白干潟を条約湿地に指定するとどうなるか~
                       釧路公立大学教授 小林聡史さん
(釧路湿原のラムサール登録から日本各地のラムサール条約登録に関わってこられ、
                      環境省からラムサール条約事務局にも出向)

 ラムサール条約湿地となることは、政府が世界に向けて責任をもって湿地を守ると宣言することであり、意義としては、各地での住民参加の状況、活動の情報交換など世界レベルで学びあえること。日本では現在46か所が登録されており、加盟国165の中で、日本の登録湿地数は11番目であり環境省ではまだ増やしていきたいと思っている。次回は2015年南米で開催される。登録には、条約の選定基準を一つ以上満たしていること、国内内法による自然保護のための保護区指定(自然公園法や鳥獣保護法など)、地元(自治体)の合意があることであるが、環境省がどう地元の合意を認定するかはあいまいなところがある。
 登録後は市民との協同のあり方が問われ、CEPA(広報、教育、参加、普及啓発)が大事な活動となる。条約の義務であるワイズユースについての紹介。最後にパキスタンのマングローブ林再生活動で、各国から集まった政府高官の人たちが素足になり嬉々として干潟に入っていく映像を示し、干潟は子どもだけでなく大人にとっても素晴らし環境教育の場である、和白干潟をラムサールの登録湿地にして大いに活用していただきたい。

◆ 特別報告「中池見湿地がラムサール条約に登録されるまでの道のり」
             NPO法人ウエットランド中池見理事長 笹木智恵子さん
 2012年にラムサール条約に登録された中池見湿地は、内陸湿地で、保全活動のきっかけは1990年に通産省が工業団地構想を発表したことだった。微力でも何か行動を起こさなければと自然観察会から始めた。最初は、小さく誰も知らない場所だったのでその大切さに関心が寄せられなかったが、観察会を続けるうちにその重要性が知られるようになった。計画はとん挫したが、その後大阪ガスのLNG備蓄基地計画誘致が持ち上がり、運動が本格化し、ラムサール条約登録を目指すための運動に変化していった。
 阪神淡路大震災などの影響もあり10年目にLNG計画は延期、中止となった。行政の中に協力的な人がいて登録に向けて県への働きかけもしてくれた。市、県、国との線がつながらないと動かないと思った。その後国定公園になり、その間に未来遺産登録運動などあり周りの目も変わっていった。
 登録されたとはいえ日本海側の交通の要所である敦賀市には北陸新幹線計画がある。中池見湿地のある山にトンネルを通す予定で、湿地を守るためには後背地となる山が大事で、山を掘ることで13万年間堆積してきた中池見の泥炭湿地にどのような影響が出るか、何の保障もない。調査も行われないままルートが引かれ、計画予定地の山が無届で伐採されていた。今はこの問題を足掛かりに異論を唱えながら新たな戦いが始まっている。登録までの道のりは長いけれども、登録されても安心できるものではないというのも問題だ。

◆各地の現状や課題についての報告

● 吉野川河口干潟(日本野鳥の会 山内美登利さん)

 吉野川は徳島市内を流れており河口は川幅1,2キロの大きさである。南に広がる干潟を跨ぐ形で白鷺大橋が完成した。計画段階から反対してきたが力及ばなかった。ただ野鳥の会などの反対により県は橋脚が干潟に立たないよう橋脚の幅250メートルという世界初の工法を取り入れた。また高い街灯はなく、欄干の内側にLEDを埋め込み外への影響を少なくしている。さらに、大橋から2キロのところに高速道路の延長計画が進められており、反対と言い続けるべきか、設計に関わって少しでも影響が少なくなるようにしていくか運動が岐路にたっている。

● 東京三番瀬(三番瀬を守る署名ネットワーク 細田邦子さん)

 なぜ三番瀬はラムサール条約に登録されないかといえば、国際的基準は満たしているが、関係自治体である千葉県と市川市の同意が得られていない。三番瀬は市川市地先と船橋市地先に広がっており、市川市は泥干潟、船橋市は砂干潟。市川市は街づくりということで泥干潟に人工海浜を作って人を呼ぼうという計画があり、人工海浜を作ってからラムサール条約については考えるというスタンス。漁業者は漁場再生がしたいのでラムサール条約登録に反対。再生の中身ははっきりしないがラムサール条約に対する反感があり、強固に反対している。粘り強く運動を展開していく。

● 藤前干潟(藤前干潟を守る会 亀井浩次さん)

 工業地帯にわずかに残った藤前干潟にはごみ処分場計画があったが、15年間の保全活動で埋め立ては撤回され、2002年にラムサール条約に登録された。現在その後作られた自然観察センターの運営を行っている。ガタレンジャー、干潟の学校の様子を紹介。
しかし藤前干潟だけが登録されても、伊勢湾・三河湾の環境再生、そこに流入する河川域全体を含めての保全なくしては藤前干潟の保全の意味がない。湾・流域全体の保全を考えている。3年前に生物多様性条約の国際会議が開かれ愛知ターゲットが決められた。ターゲットの実現のためにもきちんと活動していくのが次の目標である。

● 有明海諫早湾(諫早湾しおまねきの会 大島弘三さん)

月1回商店街で諫早湾の問題をリレートークしたり、集会などのチラシを配って活動していることを映像で紹介。有明海に注ぐ川から運ばれた細かい泥が積もって諫早湾では深さ20メートルの干潟を作っており、生き物の命をはぐくみ宝の海ができあがっている。そこが閉め切られ干拓農地と淡水域となっている。農水省の開門調査というのは、干潮時にわずか20センチ門を開き堰内の水を出し、満潮のとき20センチ水が上がれば閉めるそうだが、それは農業用の淡水が塩水化しないようにするため。漁師の方々は全面開門を訴え、農業者は塩害は困るといっている。開門調査は12月までに行われる予定だが、双方に満足できる完璧なやり方で早く開けようとの署名活動を行っている。

● 今津干潟・福岡市西区の瑞梅寺川の河口域(日本野鳥の会福岡支部 田村耕作さん)

博多湾の西にある瑞梅寺川河口に広がる今津湾の問題として、河口域の土砂の堆積で水通しが悪くなり昔はなかった牡蠣礁が増えていること。アシ原も少し減少していること。映像で、クロツラヘラサギ、夏のハマボウの花、秋の紅葉干潟の中州で休む鳥たちの様子を紹介。

● 曽根干潟(日本カブトガニを守る会福岡支部、曽根干潟を守る会 高橋俊吾さん)
 20年前干潟近くの小学校に赴任してから、守る会の人たちとの出会いがあり、曽根干潟が故郷の宝であることを子供たちと確認したいと活動を始めた。この間には沖合に新北九州空港ができ、この10年間守る会は諸事情もあり市民運動としての活動は休止している。ズグロカモメは毎年200~300羽やってきており、繁殖地の中国遼寧省と越冬地の北九州市で「ズグロカモメ日中研究会」ができ、その会長に当時の市長が就任したときは、それまでの開発計画にストップがかかるきっかけになった。カブトガニの繁殖地、生息地として注目を集めたことで、行政は北半分を保護地域、南側を開発可能地域と考えているようだ。
 最近は砂の流出、豪雨による河川からのゴミの増加がある。また、近年ボウアオノリ、ウスバアオノリの異常繁茂、腐敗でカブトガニの産卵に支障が出ている。学校のクリーン作戦は20年続いている、豪雨によるゴミ大量漂着のときは守る会と地元の人たちが参加して掃除をした。ラムサール条約登録については、地元の後背地の農協や、漁協の誤解もあり合意形成がむずかしく行政も積極的ではない。個人的な漁師さんとの関係づくりでラムサール条約への理解を深め、行政にも理解者はおり、カブトガニ自慢館建設、砂流出の浜辺への砂入れなど協力してもらえた。できることで頑張っていこう。

◆ 辻淳夫氏の活動記録の発刊計画について

(「干潟からの声」発刊委員会 伊藤昌尚さん)
JAWANの会長であ辻淳夫さんの活動の記録を「干潟からの声」発刊委員会として残し、活動を次代に引き継いでいきたい。発刊目標は今年の12月末。

◆ 質問意見交換
・ 伊藤昌尚さんから和白海域での漁業権消失について確認したいとの質問があり、和白干潟を守る会の山本代表から、和白海域の全面埋め立て計画時に和白干潟でのりを作っている奈多漁協や箱崎漁協が権利を放棄したとの回答があった。

◆ 総会決議披露「和白干潟のラムサール条約登録の早期実現を求める決議」
 和白干潟を守る会代表の山本さんが読み上げ、参加者からの満場の拍手をもって講演会は終了しました。
皆さんのお話しで、干潟の重要性を再確認させられるとともに、各地の様子と和白干潟に共通する課題があることもわかりました。そして、次は和白干潟だという声をいただき大変心強く思うと同時に、ラムサール条約についての理解を地域の中にもっと広げていく必要がある、行政との関係づくりも何か新たな方法を考えていかなくてはと思いました。大変有意義な講演会でした。


「元気発信!たかしまルシェ☆」報告
                 今村 恵美子
日時:2013年2月14日(木)13:30~15:00
場所:和白干潟海の広場、きりえ館
参加:福岡市 13名(高島宗一郎福岡市長、市長室長、公聴課長、環境局環境調整課、
           港湾局環境対策課、港湾局計画課など)
   守る会 13名

 福岡市の高島市長が市民と対話することによって、市民の声を聴くと共にその声を市政に反映することを目的とする「元気発信!たかしまルシェ☆」に和白干潟を守る会が応募して当選しました。
 打ち合わせや下見などを経て2月14日に開催が実現しました。たかしまルシェは年度内6回行われていますが、今回は最後となるものでした。
 干潟では13時15分に守る会メンバーと市の職員が集合し望遠鏡を3台設置して市長の到着を待ちました。13時30分、和白干潟はうす曇の風もない穏やかな日和で海は満ちていました。アシ原や砂洲付近にツクシガモやオナガガモなどたくさんのカモの群れが静かにくつろいでおり市長のバードウォッチングには最適でした。
 
     
<干潟案内1>             <干潟案内2>
 山本さんの説明で市長はカモには淡水ガモと海ガモの2種類があることを初めて知ったとのこと。市長は有名なミヤコドリやクロツラヘラサギを期待していたようですが残念ながら姿を見ることができませんでした。それでもツクシガモは印象に残ったようでした。さらに和白干潟の植物が独特な生態系を持っていること、自然海岸のある干潟は全国で2か所しかなく「にほんの里100選」に選ばれていることなども説明しました。
 波打ち際ではアオサの堆積で少し靴先で掘れば黒い砂が見え、酸素が乏しく生物にとってはよい状態ではないことを説明しました。市長は「じゃあ人が掘ればよくなるんじゃない?」と軽く反応しましたが、貝やカニなどの生き物が干潟を浄化する能力を持っていると説明するにとどまりました。あさりの浄化実験を見せてあげたかったな、と思いました。干潟から市長も徒歩で、山本さんが子どもの頃の和白干潟周辺の様子など語りながらきりえ館まで戻りました。

     
<干潟案内3>
 きりえ館ではまず2階のギャラリーで市長を囲んでの記念撮影があり、その後1階で懇談となりました。
  
    
<きりえ館案内>               <市長と一緒に>
 山本さんから守る会の25年に及ぶ活動の紹介をしました。人と自然のバランスは難しいが、調和が取れるためには和白干潟をラムサール条約登録地にすることが必要と熱意を込めて語りました。
 和白干潟が登録地となることに問題はないはず、という山本さんの意見に市長は、関係部局の職員に「何で、ならないの?」と質問を投げかけました。職員からは「地元の農家に野鳥の被害が出ている」と答えましたが、近年は大きな被害は出ていないはずであることなどを説明しました。市が国に積極的にラムサール条約登録を申請してほしいと守る会が要望書も出していることなど、市長はまったく知らなかった、知らされていなかったことがわかりました。
 
      
<市長と懇談>
 4月にはJAWAN総会が和白で開かれること、山・川・海の流域会議を立ち上げ市民の力で地域全体の環境を守ろうとしていることなどの紹介も行いました。市長はアジアの大きな都市に行っても海の汚い都市が多い。福岡市は人と環境と都市の調和が取れた都市として、自然を生かしながら山を守り水の涵養を目指している、和白干潟に来てよくわかったと答えてくれました。市長が和白干潟で野鳥を身近に観て、自然の大切さを感じてもらえたことはよかったと思います。
 市長は山本さんの熱意にたじたじの様子でしたが、守る会の思いが市政に反映されますように。

以上


「バードウォッチングin和白干潟2013」(和白干潟保全のつどい)参加報告
                          山之内 芳晴
◆日時:2013年1月20日(日) 13:00~15:00 晴れ 小潮:満潮:16:01 干潮:08:29
◆場 所 : 和白公民館~海の広場~アシ原
◆参 加 者 : スタッフ含め56名 
◆スタッフ15名(ウェットランドフォーラム2名、港湾局4名、守る会9名)
  
寒い日が続く中、晴天に恵まれ穏やかな気候でした。和白公民館で開会の挨拶の後、「野鳥ビンゴの鳥たち」をパワーポイントで紹介、港湾局の吉武さんがビンゴカードについて説明。子どもたちは配られたビンゴカードに思い思いのシールを選びながらビンゴカードを貼っていました。

   
<ビンゴカードの説明>
13:35公民館を出発し、海の広場に向かいました。和白4丁目で浜辺に入り、バードウオッチングを開始。RKBの鉄塔方面やアシ原前の砂州方面にいる鳥達を観察、そして海の広場に移動して鳥の観察を続けました。
 
  <バードウオッチング>           <バードウオッチング>

マガモ、ツクシガモ、オナガガモなどのほか、ミヤコドリ、ダイシャクシギなども見ることができました。
時間にゆとりがあったので、アシ原を通ってアシ原先の砂洲へ移動、さらに野鳥の観察をした後、山本さんと松本さんで鳥あわせとビンゴの答え合わせをしました。ハマシギやシロチドリなどが居なかったですが、ビンゴ正解者はたくさんいました。余った鳥の写真などはビンゴ正解者に全部配りました。
そして、ゴミ拾いをしながら海の広場へ移動してふりかえり。
ふりかえりでは、和白干潟には貴重な自然海岸が残っていることや、保全のつどいの活動などを紹介しました。

   <干潟のゴミ拾い>
参加者の感想としては、以下のようなものがありました。
・間近に鳥を見ることができて良かった。
・砂浜が美しかった。
・楽しいバードウオッチングだった。
・マガモが美しかった。
・いままで鳥を図鑑でしか見たことがなかったが、実物を見られてよかった。

初めて和白干潟に来た人が十数人と初参加の方も多かったようです。皆さん観察も熱心でバードウオッチングを楽しまれていたようです。よい天候に恵まれたバードウオッチングでした。

■観察された鳥:15種:マガモ、ツクシガモ、オナガガモ、ヒドリガモ、ヨシガモ、オカヨシガモ、スズガモ、 ホオジロガモ、コガモ、ミヤコドリ(6)、ダイシャクシギ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、ミサゴ

以上


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