最近の和白干潟


2016年10月

福岡県立柏陵高等学校の和白干潟観察会 報告(10月28日)

和白干潟の秋の自然さがし「雁ノ巣海岸」報告(10月25日)

チームエナセーブ 未来プロジェクト ダンロップグループの和白干潟観察会とクリーン作戦報告(10月23日)

和白干潟のクリーン作戦と自然観察報告(10月22日)

10月ラムサール条約登録街頭署名活動報告(10月11日)

定例探鳥会報告 和白海岸(10月9日)

「第19期和白干潟の自然観察ガイド講習会~素晴らしき和白干潟の生き者たち!」報告(10月2日)



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  福岡県立柏陵高等学校の和白干潟観察会 報告

   日時:2016年10月28日(金) 13:00~15:00 曇りのち雨、中潮・満潮:8:25干潮・14:13
   福岡県立柏陵高校環境化学科コース1年生の和白研修 (生物探究校外実習)49名と先生5名

   今日はあいにく朝から雨模様、それでも昼前には雨もやみ徐々に回復模様でした。生徒たちが海の広場に到着する1時頃には、少し日も差してきました。天候の回復に合わせミヤコドリやクロツラヘラサギなど多くの鳥たちが沖合で餌を
    食べています。またカモ達も多く並んで気持ちよさそうに沖に浮いています。天気の良い内にと、さっそく山之内さんから和白干潟の紹介や渡り鳥の話、干潟の生き物や食物連鎖の話がありました。
   みんなそれぞれパンフレットを見て事前に学習ができているのか、興味深そうに真剣に話を聞いていました。バードウォッチングでは、クロツラヘラサギやミヤコドリを実際に観て、その動きや仕草に感動したように見えました。
   他にもミサゴの目の鋭さや、ハマシギのかわいらしさも観ることが出来、歓声が上がっていました。今年は幾人かの生徒がデジタルカメラを持参し望遠鏡越しに鳥たちを撮影していました。

      

   その後少し天候が怪しくなってきたので、急ぎアシ原に向かいアシハラガニを探しました。カニは見当たりませんでしたが、それでもアシ原に入るとたくさんのアシハラガニを高校生が捕まえてバケツに入れていました。
   その後は沖の方に移り浄化実験用のアサリを採ってもらい、事前に採っていたウミニナと別々にボトルに入れて貰いました。アサリの他に珍しい貝やカニ等をみんなで探してもらい、温かい風を受けながらしばらく潮の引いた沖で過ごし
   ました。まとめでは、皆で採ったカニ、貝、海そうやハゼの子などを見て貰いました。デジタルカメラ持参の生徒たちは、それぞれ種類ごとの写真を撮っていました。浄化実験用のボトルは短時間で、透きとおった水に変わり、浄化の
   威力をみんなに見せることが出来ました。これもアサリ、ウミニナ、塩水だけと3個並べて写真を撮っていました。最後に質問をうけ、今日の観察会終了の挨拶を終えた途端に再び雨が降りだしました。

                
 
   ゴミの清掃は中止し、広場に向かいました。広場ではみんな雨合羽に着替え整列、代表生徒の丁寧な挨拶を受け、一段と雨も激しくなった中を、並んで帰って行きました。お疲れ様でした。

   (H・M)

   以上

    観察された鳥:ミヤコドリ7羽、クロツラヘラサギ10羽、ハマシギ100羽、オオソリハシシギ3羽、ホウロクシギ、ダイゼン3羽、ミサゴ2羽、オオバン、トビ、マガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、マガモ、スズガモ、ホシハジロ
           アオサギ、ダイサギ、コサギ
   観察された生物:アサリ、オキシジミ、ウミニナ、ホソウミニナ、マガキ、ユウシオガイ、アラムシロ、ホトトギスガイ、ツボミガイ、ヤドカリ、シロスジフジツボ、クルマエビ、ハゼ、アシハラガニ、マメコブシガニ、ケフサイソガニ 
          アカテガニ、
   観察された植物:ハママツナ 花:ウラギク、海そう:アオサ、オゴノリ、アサミドリシオグサ


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  和白干潟の秋の自然さがし「雁ノ巣海岸」報告

    日時:2016年10月25日(火)10:00~13:00 
   場所:雁ノ巣海岸  集合:9:40にJR香椎線雁ノ巣駅前(福岡市東区雁ノ巣)
   参加者:11名 守る会:9名、一般参加2名
   ゴミ:13袋

   今年度3度目の雁ノ巣海岸の秋の様子を調査しました。モズの高鳴きを聞き、海岸に出ると渡って来た冬鳥たちが沢山いました。遠く雁ノ巣鼻の辺りには、カワウがおよそ200羽水面に羽を休め、桟橋のある左手奥には
   クロツラヘラサギ・ヘラサギで11羽を数えることが出来ました。ミヤコドリもここを定宿にしているのか11羽が居て、マガモ・カルガモ・ヒドリガモ・オナガガモ・オカヨシガモ・ホシハジロ・ハマシギ・イソシギなどを、
   一般参加の親子に望遠鏡で覗いてもらうのに忙しかったです。

                  

                            

   アシ原を途中まで歩きました。新しい住宅のところの松も大きくなり、春夏を彩ったハマダイコンもハマエンドウも次季を楽しみに育っていました。後背地の樹林帯では、シャリンバイの実は黒く熟し、センダンは葉を落とし
   黄色がかった実を一杯ぶらさげてゆれていました。アシ原も幅を広げ、繋がれた廃船は哀れですが、砂浜の砂はきれいです。干潟を歩きました。

      

   小さな小さな砂ダンゴを並べたコメツキガニ・アシハラガニ・ケフサイソガニホトトギスガイ・マガキ・ウミニナなどは、和白の砂浜でもお馴染みです。ウミニナは数が少なかったが粒が大きかったです。
   脱皮したてと思われる始めて見たニホンスナモグリは、片方のハサミが大きかったです。
   ハマゼリは赤く色づいた実をつけながら白い花もきれいに咲いていました。雁ノ巣鼻のキミガヨランは白い花がよく目立ちます。この地で始めてウラギクが咲いているのに気がつきました。それと同時に
    春に始めてこの地で見たナルトサワギクが一本ありました。これは抜き取りました。伸びに伸びたネコノシタはまだ花が咲いていました。ハマゴウは一部が小さな秋を思わせる葉の色づきで、これから深まっていく秋を思わせ、
   きれいだったです。

      

   種をいっぱい付けたカワラヨモギに新芽のカワラヨモギが連れ添って、これはどう育つのでしょう。帰り道にはゴミを拾いました。この辺りの内海は波と風のせいでしょか、ゴミの吹き溜まりになっていました。
   ペットボトルにビニール関係のゴミ、いつもながら人工ゴミの多さに嘆きの声しきり、各人が持った袋は一杯になりました。

                   

                                                                                            (S・D)

    以上

   ●観察された鳥20種:カワウ200・ダイサギ3・コサギ1・クロツラヘラサギ10・マガモ20・カルガモ20・オカヨシガモ3・ヒドリガモ200・オナガガモ30・ホシハジロ30・スズガモ20・ヘラサギ1・トビ1・ミヤコドリ11・
              ハマシギ14・イソシギ1・ウミネコ1・ハクセキレイ1・シジュウカラ・モズ
   ●観察された生きもの: アシハラガニ・カクベンケイガニ・ケフサイソガニ・コメツキガニ・アサリ・ウミニナ・マガキ・シロスジフジツボ・ホトトギスガイ・ムラサキイガイ・アラムシロ:ヤドカリ・ゴカイ・ニホンスナモグリ・
              マハゼ
   ●観察された海草2種 アオサ・オゴノリ
   ●観察された樹木 アキグミ(実)・ノイバラ(実)・シャリンバイ(実)・ツルウメモドキ(実)・マサキ(実)・トベラ(実)・クロマツ(実)・ナンキンハゼ(実)・センダン(実)・ハマゴウ(花実)・テリハノイバラ(花実)
   ●観察された植物:アシ(穂)・イソホウキギ(実)・カワラヨモギ(新芽・種)・クズ(実)・コマツヨイグサ(花)・ツルナ(花)・ネコノシタ(花実)・ハマゼリ(花実)・ハマニンニク(穂)・ハマユウ(実)・ホソバキミガヨラン(花)・
            ウラギク(花)・ナルトサワギク(花)・アキノミチヤナギ(花)・オナモミ(実)・シナガワハギ(花)


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チームエナセーブ 未来プロジェクト ダンロップグループの和白干潟観察会とクリーン作戦報告

   日時:2016年10月23日(日)9:30~13:00
   小潮 満潮16:28 干潮9:36 天候 小雨のち晴れ
   参加者数:50名(子ども7名)
   集めたゴミやアオサ:ゴミ袋200袋


   未来プロジェクトは100年後の子どもたちに長い歴史と伝統のもとで豊かに培われてきた地域の文化・自然遺産を伝えるための運動です。和白干潟を守る会はこの運動に参加して3年目です。最初は山本さんの和白干潟の紹介です。
   和白干潟は渡り鳥たちや、干潟の生き物たち、また私たちにとっても重要な湿地であることを述べられました。あいにく初めは小雨でしたが、バードウオッチング後の干潟のカニたちに会う頃には雨も止み、元気なアシハラガニに
   みんな元気をもらって、コメツキガニやアサリ掘りにも夢中でした。

      

   後半の1時間はクリーン作戦です。すべてのソリやリヤカーなどを使ってアオサや人工ゴミを集めました。昨日のクリーン作戦の約3倍のゴミでした。
   アオサ集めでは、参加した子どもたちが賢明に箒でアオサを集めたりアオサを乗せたソリを引っ張って運んだりして、とても可愛かったです。みなさん良く頑張りました。

      

   山本さんは「干潟の生きものたちが大変喜んでいるでしょう」と話し、みんなが楽しい時を共有した素晴らしい2時間でした。その後お弁当が配られて、海の広場にシートを敷いて一緒に昼食をしました。最後にまとめをしました。
   貝の浄化実験もうまくいきました。今日出会った干潟のカニや貝などの生き物や海草を見せて、参加者皆で確認しました。その時に小さな子どもたちも生き物を見せる活動に参加してくれて、とても熱心でした。
   
                  

                              

   最後のご挨拶で和白干潟を守る会のクリーン作戦の活動や和白干潟まつりの紹介をして、参加を呼びかけました。

   (T・K)

    以上

    野鳥 ミサゴ2、ミヤコドリ4、クロツラヘラサギ9、ハマシギ100、シロチドリ5、オオソリハシシギ3、ホウロクシギ1、オバシギ2、マガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、スズガモ、ダイサギ、コサギ、カワウ、オオバン、モズ
    干潟の生きもの アシハラガニ、クロベンケイガニ、マメコブシガニ、コメツキガニ、アサリ、オキシジミ、ホトトギスガイ、アラムシロ、ウミニナ、ホソウミニナ、ツボミガイ、ヤドカリ、ハマトビムシ、クルマエビ、ゴカイ
    植物 花:ウラギク、アキノミチヤナギ、ハマサジ
       穂:キンエノコロ、アシ、ダンチク
       実:ホソバノハマアカザ
    海草:アオサ、オゴノリ、アサミドリシオグサ
   
   ※ RKBTV.とFBSTV.の取材があり、当日夕方から翌朝の間に放映されたそうです。

 
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  和白干潟のクリーン作戦と自然観察報告

   ●日時:10/22 (土)15:00~17:00
   ●参20名;一般3名 九産大宗像ゼミ5名内(先生1) 守る会12名
   ●回収ゴミ:74袋; 可燃ゴミ:73袋内(自然ゴミ;60袋、主にアオサ)人工ゴミ;13袋 不燃ゴミ:1袋 )
   ●鳥;ミヤコドリ:11羽、ハマシギ4羽(朝10頃に70~80羽)ミサゴ1羽、クロツラヘラサギ10羽、ホウロクシギ1羽、カモ類、約1000羽、広場横:モズ、シジュウカラ、ヒヨドリ


   今、和白干潟では、越冬のカモ類が随分多くなってきています、サギ類も多くいます。これからはミヤコドリや、クロツラヘラサギも多く見られる様になります。

                               

   今朝はハマシギ70~80羽程が潮の引いた広場前に広がって、忙しなく動き回っていました。久しぶりにハマシギの群れを見ることが出来て嬉しかったです。14:30過ぎにはクロツラヘラサギもダイサギと一緒に唐原川河口付近に
   いました。植物では、ウラギクが咲き始めていましたが、ハママツナは紅葉前で、アシも穂が伸びてはいますが、やがて綿毛になり冬を迎えます。朝降っていた雨も、クリーン作戦が始まる頃には止み丁度良い気温でした。
   小潮で満潮時と重なり、清掃を始めたころは殆ど潮も引いておらず、草の上に打ち上げられたアオサや、水の中に入り千把箒で一生懸命アオサを集めてソリや一輪車、リヤカーなどで運びました。

                 

   アサミドリシオグサに押されてか?発生が遅れていたアオサも、随分多くなっていました。広場前には沢山のアオサが浮いていました。潮も、時間がたって少し引いたかな?と思っていましたが、又満ちてきていました。
   結局、広場前を中心に市道までの間のアオサや人工ゴミを集めました。初めて参加の方で遠路下関から参加して下さった方も有りました。感想では、水の中に入って、アオサを取ったのは初めてとの方が多かったですね。
   また、3羽だったミヤコドリも、帰る頃には11羽が来てくれました。ハマシギは4羽が戻ってきました。参加された皆様ありがとうございました。お疲れ様でした。

   (S・T)

   以上


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  10月ラムサール条約登録街頭署名活動報告

   日時:2016年10月11日(火)10:30~11:30
   場所:西鉄香椎駅前周辺
   参加者:6名
   署名数:69名分

   本日の署名活動は気候が丁度良くて、守る会のブルゾンを羽織っても暑くありませんでした。人通りは多かったのですが、皆せわしなく歩く方が多くて、声掛けしても急いでいるので、と言う方は未だ良い方で、無視される方も
   有りましたが、山本さんは何時もの様に、知り合いの方もありダントツに集めていました。中には、三苫にお住いのご高齢の方で「和白干潟を埋立て道を作って欲しい、回り道するのでタクシー代が大変だから。」「以前バスを通すと
   言ったのに未だ実現していない、その為だったら署名する」との意見や、「自分は開発をした方が良い」と言う方もおられました。その中でラムサール登録に前向きな方や、以前和白に住んでいたので等、快くして下さる方も
   多々ありました。

      

   今回初めて署名活動に村上さんが参加されました。

   (S・T)

   以上


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  定例探鳥会報告 和白海岸

   -和白4丁目海岸→海の広場→アシ原→砂洲→海岸→海の広場-
   2016年10月9日(日) -晴れ - 小潮(干潮 8:33 満潮 16:09)
   [観察鳥種] 32種 
   [参加者数] 19人 

    昨晩の激しい雨の後で、今日は少し涼しくなりました。9月の末からはミヤコドリやクロツラヘラサギや淡水ガモ達が渡ってきました。久しぶりに海の広場方面に向かいました。住宅街からRKB鉄塔にミサゴが止まっているのを
   見ました。和白4丁目海岸では、先の台風で沖にあったアオサやアサミドリシオグサが沿岸に流れ着いて堆積しています。和白川河口や唐の原川河口には淡水ガモたちが350羽程集まっていました。ヒドリガモが多く、オナガガモや
   オカヨシガモが混じっています。カルガモは家族でしょうか、20羽くらいの集団で泳いでいます。カモたちをたくさん見るのは久しぶりで、嬉しかったです。エクリプス羽のものも多かったです。クロツラヘラサギやヘラサギは食事を
     したり立って休んだりしています。カワウの220羽の黒い集団が干潟に立ち並んでいます。沖合にスズガモ4羽とキンクロハジロ1羽、ホシハジロ1羽、オオバン3羽がいっしょに浮いて移動しています。

                    

   海ガモたちはまだ少ないです。遠く対岸の雁ノ巣海岸に5羽のミヤコドリを見つけました。倍率の高い望遠鏡を貸してもらい、皆さんにも見てもらいました。海の広場からアシ原の中道を歩きました。シャリンバイの実が生っており、
   ウラギク(ハマシオン)が咲き始めていてきれいでした。ハママツナも花や実が生っており、イソホウキギも赤く色づき出して秋の気配です。砂洲に出て、かなり近くでクロツラヘラサギやヘラサギなどを見ることができました。

                     

   海の中の杭の上にもミサゴが止まっており、食事をしているものもいました。アシ原の海岸側を歩きながら、可愛いアシハラガニなどを観察しました。台風で寄せてきたペットボトルなどのゴミを拾い集めながら戻りました。
   海の広場で鳥合わせをしている時に、モズの高鳴きが聞こえ、姿も見ました。カモたちに会えて、若い人の参加も多く、嬉しい探鳥会でした。

      

   (山本 廣子)

   以上

  【参加者の感想】 
   ・クロツラヘラサギやヘラサギが並んでおり、近くで見られて良かった。
   ・ヒドリガモなどのカモたちが増えてきて、良かった。
   ・アシハラガニが可愛かった。  ・カワウが多かった。 


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  「第19期和白干潟の自然観察ガイド講習会~素晴らしき和白干潟の生き者たち!」報告

   日時:2016年10月2日(日)14:00~17:10
   場所:和白干潟を守る会事務所(きりえ館)、和白干潟
   参加者:21名 講師 逸見泰久氏(熊本大学沿岸域環境科学研究センター教授)&ご子息、守る会12名、一般参加7名

   13時30分過ぎから一般参加の方が7名次々来館され、たちまち部屋は満員状態。14時きっかりに進行役山之内さんの司会で開会。山本代表の挨拶と講師逸見先生の紹介、スケジュールの案内がありました。

                              

   逸見先生は、九州大学在学中から和白干潟で底生動物の研究をされ、和白干潟を守る会も調査や研究に協力してきた経緯もあり、馴染み深い方です。筑陽学園中学校教員として在職中に、和白干潟での野外学習のプログラムを確立され、
   熊本大学に奉職されてからも、筑陽学園中学校は今日まで24年間和白干潟の野外学習を継続しています。 また近年のイオン環境財団からの助成金申請にも推薦人としてお願いし、守る会を支えていただいています。
   14時15分から先生のスライドで「和白干潟の底生動物~素晴らしき和白干潟の生きものたち」と、先生の研究グループが2002年に調査された和白干潟の底生動物リストを参考に教えていただきました。

                             

   カニや貝を中心に、どのような種類のカニがいるか、住む場所が移動しているのではないか、種が減っているのではないかなど、20年ほどの間の変化について先生と山本代表のやり取りで、講義が進みました。
   チゴガニは減って河口を移動し、元の場所にはコメツキガニが棲んでいること、チゴガニのオスははみんなそろってダンスをし、ツメをつけたロボットで実験して見ると、大きなツメの方にメスが魅力を感じて寄っていくことが明らかに
   なったこと、ヤマトオサガ二もダンスをするが、目の高さまでしかツメを上げず(ズグロカモメの餌になるから)、コメツキガニはめったにツメを振らないそうです。ヒメヤマトオサガ二は和白にはいませんが、もっと高くツメを
   振るそうです。ハクセンシオマネキは、三拍子で振りメスが近くに来たときは振り方が違うそうです。シオマネキも和白にいたが、現在は減っているそうです。アシハラガニは植物系のえさを食べ、ヒメアシハラガニは肉食系で
   コメツキガニを食べたりするそうです。ウモレベンケイガニは唐原川河口にいますが、石の間にじっとしています。ウミ二ナは増え、ホソウミ二ナは減っているとのことです。ウミ二ナは卵が孵化するとプランクトンとして沖を
   泳いでから戻ってくるのに対し、ホソウミ二ナは卵からそのまま貝になりその場所に棲むそうです。貝として水面にさかさに吸着して移動するそうです。絶滅危惧Ⅱ類キヌカツギハマシイノミガイの生息がアシ原で確認されているので、
   ラムサール登録地に有利と言えるそうです。希少種はアシ原などの湿地にいるので確認することが必要だそうです。質疑応答では「アオサ対策:水質をきれいにするしかない。富栄養化で還元層が厚い」「アマモの植え付けについて:
   増えすぎたらコントロールできなくなる。水の流れを止め、ドロっぽくなってしまう。広島でやって、問題が表面化している」「カキの養殖による水質浄化について:浄化にはよいが、カキ棚の下はカキの糞で汚れているので、定期的に
   人が買い食べることが必要。博多湾の中の汚れが外に出ていかないと浄化できず有機物が多すぎるが、和白干潟では硫化水素は発生していない。」「底生動物と鳥の関係は:コメツキガニはホウロクシギなどのシャクシギの餌、
   ヨコエビはトウネンの餌」など答えていただき、フィールド学習に、和白干潟に向かいました。

      

   干潟ではカニ類や貝類を採取。採取したマメコブシガニにはマメコブシヤドリエビと言う寄生動物が付着したためオスがメス化しているものを見せていただきました。卵を持っているタカノケフサイソガニも見ることができました。
   シオマネキは126種もいて1つの属に入りきれなくなって今後たくさんの属に分けられる、と言う話です。アシ原入口のアシハラガニ、干潟のコメツキガニ、沖のアサリなどを掘ったり捕まえたりしました。

      

   再び室内に戻り、先生の関係されている環境保護関係の委員会では熊本県が継続した取り組みをしているのに対し、1年きりで終る福岡県の環境保護の姿勢に大きな違いがあることなどを話されました。

                                       

   参加者の方からは、福岡市の今津干潟の環境保護についても報告書を作成したらそれきりで終わり、その後の取り組みをしようとしないことなど、問題点が報告されました。熊本県は生物多様性地域戦略を作って、取り組んでいるが、
   福岡県は作成して終わりとのことでした。「ラムサール条約登録地となった荒尾市も漁協や荒尾市が協力して実現している。反対者がいないようにならないといけない。和白は潜在リストにも入り、重要湿地にもリスト入りしているので
   ラムサール登録は可能だ」と励ましていただきました。最後に出席者からの感想を聞きました。「福岡市にこういうところがあるのを知らなかった、逸見先生の解説を聞けて有意義だった。」「小さいころ和白に住んでいたので、
   大学生になって久しぶりに和白干潟に来て楽しかった」「春日市に住んで今津のカブトガニの保護活動をしているが、傍聴に行っても福岡市は関心がない。守る会はこうして熱心にやっていることに驚いた。カブトガニの調査は業者に
   委託され、イベント化している。九大の先生も関心が低く、小学校の先生が一人で放流までのカブトガニの生育の面倒を見ているが、限界になっている。伊万里高校は熱心だ。」「唐原川を散歩しているが、カニの種類を知って
   楽しみになった。カニを通して暮らしの課題があることを感じた。」などいろいろありました。最後にみんなで和白干潟を守っていく上で大変貴重なお話を聞き、また体験した講習会になったことを先生に感謝しました。
   終了後、3名の方が守る会に入会されました。大変うれしい成果です。

   (E・I)

   以上

   観察されたカニ:カクベンケイガニ、コメツキガニ、マメコブシガニ、タカノケフサイソガニ、アカテガニ、アシハラガニ
   観察された貝:アサリ、オキシジミ、アラムシロ、ツボミガイ、ユウシオガイ、ホトトギスガイ、ウミ二ナ、ホソウミ二ナ、マガキ
   観察された底生動物:ハゼの稚魚、ヨコエビ、ユビナガホンヤドカリ、イソコツブムシ(海のダンゴムシ)
   観察された鳥:ミサゴ1、ヘラサギ2

   ※ 逸見先生など日本ベントス学会編「干潟の絶滅危惧動物図鑑~海岸ベントスのレッドデータブック」(東海大学出版会発行:4800円+税)の紹介がありました。



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