和白干潟について


ミヤコドリ

ミヤコドリ 三宅僚氏1997年10月22日撮影


和白干潟は、博多湾の東奥部にある小さな干潟です。

しかし、そこは、私達、和白干潟を愛する者たちにとって、
かけがえのない干潟です。

また、世界中のすべての人類・未来の人類にとっても重要な財産です。



  • 和白干潟は、国際的に重要な渡り鳥の飛来地です

  •  和白干潟は、いくつかの渡りのルートが交差する北部九州にあるため、渡り鳥の重 要な中継地・越冬地となっています。毎年200種以上の野鳥が確認されており、冬 季には2〜3万羽のシギ・チドリ類やカモ類などを観察することができます。この中 には、クロツラヘラサギやズグロカモメなどの国際的希少種も少なくありません。
     このように多くの野鳥が和白干潟を訪れるのは、干潟が安全なことに加え、餌が豊 富なためです。また、各地の干潟の消滅によって和白干潟に野鳥が集中した結果です。 シギ・チドリなどの渡り鳥にとって、干潟は翼を休める空港であり、エネルギーを蓄 える燃料補給基地です。そのため、渡りのルートには、採餌・休息のための干潟が点 在する必要があります。

  • 和白干潟は、渡り鳥だけでなく、多様な生物の生息地です

     このように、和白干潟にはたくさんの水鳥が生息していますが、これは干潟に水鳥 の餌となる動植物が多いためです。干潟の代表的な生物はエビ・カニ・ゴカイ・貝類 などの底生動物ですが、和白干潟には1平方メートルあたり1〜3万個体が生息して います。他に、ハゼやカレイなど多くの魚類が、満ち潮と共に干潟に侵入し、底生動 物などを捕食しています。これらの動物に、海そうや湿地植物などを加えた生物が、 複雑な食物連鎖のよってつながり、安定した干潟生態系を形成しています。水鳥を守 るためには、干潟の動植物、干潟生態系を守る必要があります。

  • 和白干潟では、多くの水産資源が育っています

     現在、博多湾東部海域ではほとんど漁業が行われていません。これは、人工島建設 に伴い、漁民の方が漁業権を放棄してしまったためです。しかし、漁業権がなくなっ た今も、和白干潟と周辺の浅海域では、多くの海棲生物が育っています。一般に、干 潟と周辺の浅海域は『海のゆりかご』といわれ、稚魚が幼魚が生育する場です。干潟 は餌生物が多く、ここで育った魚が周辺の漁場で捕獲されます。そのため、和白干潟 の環境悪化は、周辺の漁場に悪影響を与えます。水産資源の保護のためにも、和白干 潟の保全が必要です。

  • 和白干潟は、環境教育の場・レクレーションの場です

     和白干潟では、頻繁に、探鳥会をはじめとする観察会が開かれています。また、付 近の小中学校の校外授業の場として、教員の自然教育研修の場にもたびたび利用され ています。もちろん、潮干狩りも盛んです。水遊びをする子供たちも多く見られます。
     このように、和白干潟が多くの人に利用されるのは、和白干潟が大都市福岡にあり、 交通の便が良いためです。さらに、干潟が砂っぽく、運動靴でも歩ける上に、手や足 を切る原因となるカキ殻などがほとんどないためです。もちろん遠浅ですから、小さ な子供を遊ばせても安心です。そのため、潮干狩りや夏休みには、多くの家族づれで 干潟はにぎわいます。

  • 和白干潟は、海水をきれいにしています

     また、干潟や浅海域のもつ浄化作用も重要です。干潟生態系と、陸上の草原や森林 の生態系の大きな違いは、干潟では植物食の動物が少なく、多くの動物が有機物の粒 子を食べている点です。干潟には川から多量の有機物、例えば動植物の枯死体や糞塊 などが運ばれてきます。これらの有機物は次第に細かな粒子になっていきますが、こ れが細菌や底生動物の餌となっているのです。例えば、アサリは水中を浮遊している 懸濁物(セストン)を、コメツキガニは干潟に沈んだ堆積物(デトリタス)を食べて います。また、これらの底生動物を食べることによって、肉食性の底生動物や鳥類・ 魚類も間接的にセストン・デトリタスを利用しています。
     このようなセストン・デトリタスを出発点とする食物連鎖を腐食連鎖といいます。 干潟や海域にも植物プランクトンや海そうなどの緑色植物はいますが、有機物の量は セストン・デトリタスの方がはるかに多く、腐食連鎖がより重要です。また、海域に 流入した生活排水や糞尿(あるいは汚水処理後の排水)などの有機物もこの腐食連鎖 によって生物に取り込まれ、体内に蓄積されたり、分解されたりして浄化されます。 特に、干潟や浅海域は水中の酸素が多く、生物も多数生息しているため、高い浄化能 力をもっています。
     また、ヨシ原などの塩性湿地やそこに住む底生動物も多量の窒素やリンを除去して います。ある試算では、干潟の細菌や底生動物が処理する有機物の量は、1日に1平 方メートルあたり約1.65CODです(COD:有機物を化学的に分解するのに必 要な酸素の量で、有機物汚染の指標に使われます)。これを和白干潟(80ヘクター ル)にあてはめると、干潟全体では1日に約1320kgCODで、約20万人分の 糞尿処理能力に相当します。したがって、和白干潟は浄化能力からみると約20万人 分の糞尿を処理できる汚水処理場ということができます。

    ミヤコドリ

    ミヤコドリ 三宅僚氏1997年10月22日撮影


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