和白(塩浜)地
区護岸工事説明会の報告とお尋ね
●
内湾の護岸工事についてお尋ねします。
以下について詳しい方はア
ドバイスをいただけませんでしょうか?
博多湾東奥部にある和白海域では福岡市港湾局によりエコパークゾーン「海岸環境整備事業」の一環
として老朽化した護岸の改修工事がおこなわれています。来年度の工事について、今回早めに説明会
を開いてもらいました。
説明会日時:2005年8月17日 10:30〜12:50
参加者:福岡市港湾局環境対策課から2名、港湾局建設部工務課から2名
和白干潟を守る会から8名
1、整備区域:五丁川左岸先前面〜和白川河口前面の和白海域沿岸の護岸419m
2、工期:平成18年度(5月〜12月の間に)
3、 海岸護岸について港湾局の説明
(1) 護岸整備の考え方:エコパークゾーン整備の中で、現在の老朽化した護岸 の作り変えを行う。
(2)防災面の充実を第一に、自然環境にも配慮した計画と工事をめざす。これまでの工事区間との連
続性や景観に も配慮する。
(3)護岸上の遊歩道については、国の補助事業で、維持管理と障害者にも利用できるように舗装する。
舗装には保水性・ 浸透性にすぐれ、ソフト感があり歩きやすい、地下に雨水を還元するような舗装
をしたい。
(4)緩衝緑地帯」については、護岸の内側に3m幅の緑地造成、その内側に4mの歩道、その内側の
クリーク側は土嚢で補強し5.4m幅で高さ1mに盛り土をして緑地を造成する。
以上をもとにした護岸断面図の説明がありました。旧護岸の土台部分を残して干潟 に6m幅で自然
石を敷き、高さ1.7mほど積み上げる。その上に満潮線より少し 上に工事の足場確保のためと鳥が
休むために2.5m幅の平面を作る。その上に海 側に沿ったコンクリートの波返し護岸を作る。その内
側に石を詰め、防砂シートを 貼る。
★
和白干潟を守る会の要望
1、
自然石を積み上げるために消失する干潟が約6m×419 mもあるので、干潟がもっと
多く残る工法にしてほしい。
この要望に対しては、地盤や護岸の強度を保つためには、計算上干潟に張り出す面積はこれ以上少
なくするわけにはいかないと言う説明でした。
自然をできるだけ
いためずに耐久性や防災面でもすぐれ経済性もある護岸について、
詳 しい方にお聞きします。もっと干潟を減らさない護岸工法はないものでしょうか?
2、
生 態系保全のために、護岸上の道の舗装はしないでほしい。和白干潟は自然の残る
大切な場所なので、護岸の道も自然を残して整備してほしい。
3、
緑地に植栽 する木は現在和白干潟沿岸に生えている樹種にしてほしい。
緑地には現在沿岸に生えている植物が生える環境にしてほしい。草といっても塩生
植物などもあるので、草刈りには注意して ほしい。
過去の説明会は工事発注後におこなわれたので、私たちの要望は聞かれませんでした。
それで残り部分の護岸工事について、今回はまだ工事が発注される以前に説明会を開いてもらい
ました。
今回は工事開始よりもずっと
早めに説明会をしてもらったので、少しは守る会の意
見も検討しても
らえるかもしれないという、希望が感じられました。工事予算申請前の10月頃までに検討して返事
をいただくようお願いしました。
護岸工事断面図
→海
護岸工事平面図
★9
月21日に福岡市長に要望書を提出しました。
9
月21日、「塩浜地区護岸築造工事(その4)」に対する市長あての要望書を提出しました。
秘書課の高木さんと、秘書課長の式町さんが対応されました。
航空写真や図面を示しながら護岸の様子や8月17日に港湾局から受けた説明の様子、また、干潟の消失
面積をへらすアイディアについても手書きの図を示しながら説明し,専門家によるさらなる検討を要望しま
した。
要望に対する返答は10月15日までに港湾局からある予定です。
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福岡市長 山ア 広太郎 様 2005年9月21日
和白干潟を守る会 代表 山本廣子
福岡市東区和白1-14-37 TEL:092-606-0012
「塩
浜地区護岸築造工事(その4)」に関する要望書
「和白干潟を守る会」では8月17日に福岡市港湾局建設部工務課と環境対策部環境対策課より、平成
18年度工期予定の「塩浜地区護岸築造工事(その4)」についての説明を受けました。
説明では@老朽化した護岸の作り変えを行うこと、A計画と工事においては環境・生態系へ配慮する
こと、海岸線の連続性、景観にも配慮することなどの説明がありました。
しかし、この計画では「エコ・コースト事業」がいうところの“失われつつある自然環境を守り、豊かで多
様な海生動植物などの生態系や自然景観等周辺の自然環境に配慮し、より自然と人々の安全とが調
和した海岸整備”という整備目的を満たしていません。
都会に残る貴重な和白干潟の特性は、干潟そのものとその後背地を一体として成り立っています。当
会では以下の3点についての問題点と要望を説明会当日口頭で港湾局に伝えました。
市長におかれましてもこの博多湾に残る身近な、そして貴重な自然環境の保全を強く推し進めて頂く
よう,本事業の見なおしに努力していただきますよう要望いたします。
1.
護岸について
説明では工事の干潟への影響を考えて「石積み傾斜護岸」にするということでしたが、自然石の
積み上げで消失する干潟は6m×419mになり、80haの和白干潟では大きな影響を与えます。
よって、干潟の消失を極力少なくする工法を検討していただきたい。
2.
護岸上の遊歩道について
維持管理の利便性のため遊歩道は舗装する、またバリアフリーの観点からも舗装が望ましいな
どの説明がありました。
しかし、和白の自然は単に干潟があることだけではありません、周辺も含めて最大限生態系を保
存することが不可欠です。多様な植物があり、そして昆虫が生息し、鳥類も生息しているのです。
身近な何気ない自然を残していかなければ自然環境は守られません。
よって、護岸上の遊歩道にはいかなる舗装整備も行わないで下さい。
3.緩衝緑地帯について
護岸の内側に緑地造成を行い、遊歩道を挟んで反対側に盛り土をしてさらに緑地を造成すること
になっています。地域の生態系を保全するには、地域の特性に合った整備が必要です。
よって、植栽する木は現在和白干潟沿岸に生えている樹種にしていただきたい。また、緑地には
塩生植物も含めて、現在沿岸に生えている植物が生育できる環境を保全していただきたい。
和白干潟そしてその周辺は面積的に広くはありませんが、博多湾沿岸の中でも多様な自然が残
された貴重で身近な環境です。人々はそのような場所を求めて足をはこびます。街中にあるありふ
れた公園とは違います。残る自然の保全を最大限に考えた整備になるよう市長のご尽力をお願い
いたします。
●以上の要望事項につきましてご検討いただき、10月15日までにご回答いただきますようお願い
いたします。
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護
岸工事による干潟の消失面積を減らす工夫のアイデア
1、 中心の旧護岸を前と後ろの両面から石や鉄板などで支える。
2、 中心の旧護岸に前面の被覆石をつなぎとめる。
3、 被覆石をそれぞれ支えあう。
4、 干潟面から被覆石が動かないように、くいや鉄板を差し込む。
5、 1から4を組み合わせる。
以上のような工夫を考えていただいて、ぜひとも干潟の消失面積を減らしてください。
(下図を参照)
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福岡市長から回答が来ました。
回答へのご意見をお願いします。
「塩
浜地区護岸築造工事(その4)」に関する要望書に対する福岡市の回答説明会
和白干潟を守る会では8月17日に福岡市港湾局から、平成18年度工事予定の「塩浜地区護岸築造工事(その
4)」についての説明を受け、その後9月21日に「工事に関する要望書」を提出しました。それに対する回答を
10月13日付けで受け取りました。10月27日に「要望書に対する回答」について、港湾局の説明会が守る会事
務所でありましたので報告します。
「塩浜地区護岸築造工事(その4)」に関する要望について
10
月27日13時〜16時50分
出席:港湾局 建設部工務課 2名、環境対策部環境対策課 2名、守る会 8名
出席者の紹介の後、守る会が要望書を読み上げて確認し、港湾局から「回答」についての説明があった。
1.
護岸について
結論は、港湾局は8月17日の説明通りの工事をするというものであった。それが干潟を傷めずに、護岸を
補強する最良の方法であるとの主張はかわらなかった。守る会がアイディアとして提出した5つの案はい
ずれも取り入れられていない。
理由: 1. 円弧すべり数値が1.3に届かない。2. 工事費が高くなる。3. 施行的に不可能、等である。さら
に、話し合いの途中でもう一つの変更出来ない理由が明らかになった。それは8月17日の説明会以前にも
う工事方法は決定しており、国土交通省等に対する手続きはスタートしていたという事実である。この事は
工法決定前に説明を受け、市民参加でより良い環境を作って行きたいと願う我々を大いに失望させ、港湾
局に対する信頼を失わせたと思う。
*なお、円弧滑りの基準数値については千葉県市川海岸塩浜地区護岸検討委
員会議事録によると軟弱
地盤では1.2以上となっており、福岡市の基準と異なるのは何故かとの質
問に対して、港湾局では分から
ないとの答えしかなかった。
2.護岸上の遊歩道について
舗装する方向で検討している。舗装しない場合維持管理費がかかるが維持管理費の予算は小さいので、
今後の維持管理を簡単にするために工事の一環として整備費で舗装をする。近隣の町内会に意見を聞い
たところ、隣接の農家も舗装を希望している。未舗装だと凹凸があって歩きにくい、危険である、草が生え
る、種が飛んで畑に侵入するなどの意見が出ている。ただし舗装の材料や色は決めていないので、説明会
で変更可能と言ったのはこのような事柄である。
3.緩衝緑地帯について
植栽については守る会の希望も取り入れていきたい。ただし地元から、護岸上緑地帯に松を植えさせ
てほしい、手入れも地元で行うからとの希望があるのでそれも考慮にいれているが、緩衝緑地帯の植
栽については、この土地の樹木を選んで植える予定である。
守る会の要望
1. 一度失われれば取り返しがつかない干潟を減らさない工事をする事を最優先してほしい。港湾局は
旧護岸を補修することについて、干潟を傷めないために陸側から工事する方法を採るというが、結果とし
て6×400メートルの干潟が喪失する事になる。一時的に干潟が工事に利用されても工事後原状復帰出
来る工法を検討してほしい。工法は一つでなく検討出来るものはすべて示してほしい。
今回、現在の和白護岸の構造について、断面図を見せてもらった。現在
の護岸は土を盛り上げて海
側表面を切石で覆い、上部に波返しを付け、基礎は護岸前面下の海側に
1m程度の石を積み上げた
だけのものであった。これで100年以上も保てていることは驚異で
あった。旧来のやり方に学び、
補強する方法の工事案を、ぜひとも検討するように強く要望した。
2. 和白干潟にかぎらず、開発などで自然環境が失われた場合は、別の場所で同じものを出現させて、
プラスとマイナスの均衡をはかるミティゲーションという考え方があるが、それも検討してほしい。
3. 行政と地元町内会、地権者、学識経験者、自然保護団体などが一堂に会して協議をしつつ計画を
進められるよう、組織、システム作りを検討してほしい。(参考例として千葉県市川海岸塩浜地区護
岸検討委員会の資料を提出した)
4. 護岸側にも緩衝地帯にも樹木、植物はこの土地本来のものを植えるべきである。松は和白干潟にふ
さわしくない。ふさわしい樹木をあげる事はたやすいので、これから検討してほしい。
5. 要望に対する回答を11月末日までにお願いしたい。
最後に、数年後に行われるであろう和白川左岸の工事については、計画のス
タート時から検討に参加
させてほしいと強く要望した。
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皆様、ご意見、お知恵をお寄せください。