和白干潟の重機による耕耘の中止を求める要望書
福岡市長 山崎広太郎 様 2006年7月5日
和白干潟を守る会 代表 山本廣子
福岡市東区和白1−14−37
YEL/FAX:092-606-0012
重機による和白干潟の耕耘が、5月30日に4時間あまりと5月31日に3時間、福岡市港湾局によって行われました。今までにも月一度はスコップや耕耘機による耕耘は行われていましたが、今回は重機による大規模なものでした。干潟中程の北側は和白川河口先160m×150m、南側は唐の原川河口先130m×120mを、キャタピラのついた車の後ろに大型の鋤をつけて干潟をひっぱってまわったのです。ちょうどトラクターで畑を鋤くように重機が動きまわり、干潟の上に延々と畑ができた感じになりました。日々和白干潟の保全のためにさまざまな活動をつづけている私たちにとって、今回の重機による耕耘は多種多様な干潟の生き物の悲鳴が聞こえてくるような、胸をかきむしられるできごとでした。
今回の耕耘は、底質の改善の実験という事業のようですが、環境が悪化したとはいえ和白干潟にはまだ多くの底生動物や野鳥が生きる豊かな干潟です。
耕耘実験は有明海や山口でも行われているようですが、還元化が進み生物が皆無になった場所でない限りマイナス効果しかない、またそのような場所においても効果は一時的なものでしかないという専門家の指摘があります。きちんと長期にわたるモニタリングを行い効果が実証された例はほとんどないそうです。特に「底生動物の増加」を統計的に示した例はないそうです。
和白干潟の環境回復には、水質改善のために博多湾の窒素除去を早急に実行すること(全下水処理場における対策)、人工島造成により停滞した和白海域の海水の流れを回復するための具体策を検討、実行するなどが必要なことです。耕耘は干潟を棲み処にする生き物たちの棲み処を破壊します。干潟にはデリケートでやっと個体数を維持しているような生物もいます。これらを重機で攪拌することは、弱い生物を殺してしまいます。大規模な自然の改変は、干潟にダメージを与え害になります。また一時的な対処療法にもならず税金の無駄使いとしかいえません。
以上のことから、和白干潟の重機による耕耘は中止をしてください。
また以下の資料の提出を7月末日までにお願いします。
1.重機による干潟の耕耘が干潟の生物に有害でないことを示す資料。
2. 干潟の耕耘は、国内また国外においていつごろからはじまったのか、また各地で実施された干潟耕耘のデータ等の資料。
3.和白干潟の重機による耕耘の目的、実施要綱、将来見通し、予算等をしるした資料。