22回和白干潟まつり「ラムサール宣言」

 

  「和白干潟まつり」は、「和白干潟を守る会」が呼びかけ、和白干潟の環境を守り次の世代につなげようと思いを同じくする諸団体とともに1989年から開催し、本日で第22回目となりました。

 

  今年は国連が定めた「国際生物多様性年」として、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が10月11日から29日まで名古屋市において開催されました。COP10のNGOによるパネル展示で和白干潟の重要性が世界に向けて発信されました。

  1年で4万種もの種の絶滅が進み、地球が生み出す資源の恵みの1.4倍を人類が消費している状況の下で、COP10では様々な議論が交わされましたが、「2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」という目標は残念ながら達成できませんでした。私たちの目の前に繰り広げられるこの

自然は、それぞれ何千、何万種の生物の営みから成り立っています。40億年もの時間をかけて作り上げられてきた貴重なシステムが、今徐々に人間の活動によって壊れようとしています。

  まさに、和白干潟の前には海を埋め立て人工島が造りだされ、その存在により潮流は停滞し、水質の

悪化が進み、アオサの大量発生や底生動物の減少、渡り鳥の種類や飛来数の減少など影響をおよぼして

います。さらに、沿岸部の宅地開発やシギやチドリの生息地を埋めた人道橋建設など開発が進み、環境

は悪化する一方です。

  和白干潟を守るために、たくさんの市民や企業の方々の参加で干潟の清掃などの環境保全活動、子どもたちへの環境教育が行われています。しかし、それだけでは環境の悪化に歯止めがかからない現状が

あります。それゆえ和白干潟が「水鳥の保護とその環境保全を図る国際条約ラムサール条約の登録地に

選ばれることが必要」と、和白干潟まつりのテーマに「和白干潟をラムサール条約登録地に」と掲げ続け

てきました。さらにこの思いを強く訴えようと昨年の第21回和白干潟まつりから「干潟まつりラムサ

ール宣言」を出すことにしました。和白干潟はラムサール条約の国際的に保護されるべき基準を充たし

ており、今年の環境省ラムサール条約検討会で172の候補地の中に入っています。

  国際生物多様性年の今年こそ、実現に向けた具体的な動きを福岡市に期待しましたが、残念ながら

実現していません。福岡市は地元の同意が得られていない、という理由で国に対して働きかけを行って

いません。福岡市は地元住民の理解を得ようと取り組むことがなぜできないのでしょうか。

 

  今年も「第22回和白干潟まつりラムサール宣言」として、以下について宣言いたします。

 

1.私たちは、これからも大切な和白干潟の保全活動と和白干潟の環境保全の啓発活動を

    続けていきます。

2.福岡市に、博多湾全体のラムサール条約登録に先立ち、まず条件の整っている和白干

    潟のラムサール条約登録を国に申請することを求めます。

3.環境省に、和白干潟のラムサール条約登録に早急に取り組むことを求めます。

 

    2010年11月21日

                                                22回和白干潟まつり参加者一同