最近の和白干潟
2021年10月
第23期「和白干潟の自然観察ガイド講習会」『和白海岸の海浜植物を学ぼう!』報告(10月31日)
今林 眞由美
日 時:2021年10月31日(日)13:00~16:50 快晴 若潮 干潮12:28 満潮19:02
集 合:和白干潟を守る会事務所 講師:内田泰三氏:九州産業大学 建築都市工学部 教授
参加者:16名 守る会13名、一般3名
新型コロナの影響で延期を繰り返し、待ちに待った講習会です。秋晴れの空も歓迎しているようでした。
山之内さんの司会進行で始まり、山本代表が「和白干潟は自然海岸が残る干潟として「にほんの里100選」に選ばれており、塩生植物が残る全国でも数少ない貴重なところです。
毎年保育園、小中学校、高校や一般の方を対象に干潟の自然観察会を実施しています。観察会のガイドを育成するために専門の先生の講習会を開いています。
今回の内田先生は植物の専門家で、河川、港湾などの自然環境を配慮したまちづくりの研究をされ、身近では立花山の保全活動や唐原川の観察会、植物の写真展などをされています。
皆さんがガイド出来るよう和白干潟の植物を学んでください。」と挨拶と講師の先生の紹介をしました。
講習会ではまず、生物の分類について分類学の変遷を学びました。とても難しい内容でしたが「アオサ」は植物ではなく原生生物の藻類だそうで、参加者の皆さん驚きでした。
次に植生調査について、調査結果は現状に合わせてどう維持していくべきか、どう変えていくべきか検討する材料になりなす。
航空写真を基に植物の分布を色分けする「植生図」と、対象区域に海から陸方向へ一定のラインを引き、ライン上に四角の枠を作りその中の植物の占有率を6段階に分けて記録する「ライントランセクト法」を学び、
観察の最後にこの方法を二か所で実施してみました。講義を聞いて想像したより楽しく、みんなでワイワイと賑やかな作業でした。
干潟では、海の広場から唐原川方向にアシ原中道を、説明を聞きながら植物を観察して歩きました。シオクグの中に塩生植物ではないギョウギシバが混じっていました。
ウラギクの花が咲き、ハママツナの紅葉が始まっていました。和白干潟が南限のハマニンニクもたくさん見られました。
アキグミの実が赤く熟れだし、トベラ、シャリンバイ、ナンキンハゼ、アオツヅラフジの実もなり、アシ原中道にはシロバナサクラタデの花がたくさんありました。帰り道の砂浜では大きなアシハラガニがいました。
「きりえ館」に戻り、あらかじめまとめていた聞きたいことを質問しました。
その後、参加者の自己紹介と感想を聞きました。最後に松田さんの「秋晴れの爽やかな日に実施できてよかった。コロナの影響で中止された行事が多く、今年最大のイベントとなりました。」との挨拶で閉会となりました。
参加者の感想
・和白干潟の自然は守るべき自然だと思った。
・ライントランセクト法は興味深かった。機会があれば和白干潟でも実施すると面白いと思う。
・植物の奥深さを実感した。
・ガイドができるように勉強し、覚えたいと思う。・中学生の植物の調査があるが、植物は人気がなく興味をもってもらうのが難しい。いいアイデアは?
・最初は難しい話と思っていたが、途中から面白くて楽しくなった。
・いつも見ていて、気になっていた花の名前がわかりよかった。
聞きたいこと質疑応答
〇和白干潟独自の植物を教えてほしい。
ハマニンニクと雁ノ巣に生えているハマアカザは和白干潟が南限なので、ぜひ守っていってほしい。ここに生えていることに自信を持って活動して。
〇塩に強い木や植物の分布を知りたい。
今日見たものはほとんど塩に強いもの。潮風に強いものは先祖が植えてきたマツで、マツと一緒に生えるマサキ、シャリンバイ、トベラ、アキグミなども強い。
ハリエンジュは落ち葉を肥料にする為にマツと一緒に植えられた。塩水に強いのはハマボウで、マングローブ林を形成する。
〇クサヨシとヤマアワの違い。
今日干潟で見たのはヤマアワ。クサヨシは暑さに弱く夏にはなくなる。花序はよく似ている、ヤマアワは花の周りの包えい(トゲトゲ)が長く、その中から長い毛が生えている。
葉の付け根をめくると葉舌と呼ばれる幕がありヤマアワの方が長い。
〇シオクグはどこでもありますか。
全国の海岸のどこでもある。ただどこでも減ってきているので守っていってほしい。
〇外来種の定義を教えてほしい
明治維新(開国)以降に入ってきた植物を外来種としている。
〇外来種を受け入れるか排除するかの議論は、専門家や環境省ではどのようになっていますか。
外来種のすべてが悪いわけではないので、特定外来生物や侵略的外来種または生態系被害防止外来種リストに載っているものを抜いていく。ナルトサワギク、オオキンケイギク、オオフタバムグラなど。
〇和白干潟の外来種について、どのような対策がありますか。
まわりに悪い影響が出そうな植物は見かけたら抜いていくこと。
〇外来種の駆除についての段取りを教えてください。
見つけたら抜いて、ゴミ袋に入れて焼却ゴミに出す。特定外来種は内田先生に連絡して指示を受けて。除草剤やマットの使用はしないがよい。
〇雁ノ巣の外来種が海の広場方面に来ると思うが、それを避けるためには雁ノ巣の外来種をどうしたらよいでしょうか。
広がって来ることは防ぎようがないので、見つけたら抜くこと。ユッカ、ウチワサボテン、アメリカネナシグサなど。
〇ハマボウやハマウドが和白干潟沿岸で増えていることはどういうことなのか教えてください。温暖化?
二種類とも、もともと関東地方くらいまで生えているものなので、南の植物が増えだしたものではないが、他の種類ではそういうことが起きている可能性はあるかもしれない。
観察されたもの
植物 :
花 :ハマサジ、アキノミチヤナギ、シロバナサクラタデ、ヒメムカシヨモギ、ツルナ、ウラギク(ハマシオン)
実 :アオツヅラフジ、センダン、マサキ、シャリンバイ、トベラ、アキグミ、ツルグミ、ネズミモチ、ハマゴウ、クコ、スズメウリ、ノイバラ、テリハノイバラ、センニンソウ
穂 :ギョウギシバ、シオクグ、キンエノコロ、アシ(ヨシ)、ヒトモトススキ、チガヤ、ヤマアワ、セイバンモロコシ、ダンチク
紅葉 :ハママツナ、ホソバハマアカザ、イソホウキギ、ホコガタアカザ、ナンキンハゼ、アキニレ、ヤマザクラ、ハゼ
その他:ハマヒルガオ、ハマナデシコ、ハマエンドウ、ハマニンニク、ハマボウ、クロマツ、ネムノキ、サワグルミ、ハリエンジュ、ユッカ(アツバキミガヨラン)、
海そう :アオサ、オゴノリ
鳥 :クロツラヘラサギ、ミサゴ、オナガガモ、ヒドリガモ、オオバン、マガモ、スズガモ、ダイサギ、カワウ、トビ、モズ(声)、ジョウビタキ(声)
生きもの:コメツキガニ、アシハラガニ、ウミニナ、ホソウミニナ
※本日は確認できませんでしたが、
唐原川左岸にシバナ、フクド、雁ノ巣にハマアカザがあり、これらは生育数が減ってきて絶滅が心配されています。大切に守っていかなければなりません。
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田辺 スミ子
●日 時:10月23日(土)15:00~17:00
●参加者:43名: 一般30名(九産大宗像ゼミ16名、ジブラルタル生命9名、三菱ケミカル2名、個人3名)和白干潟を守る会13名
●回収ゴミ:81袋、可燃ゴミ袋80袋(自然ゴミ:草木33袋、アオサ40袋、人工ゴミ7袋)、不燃ゴミ1袋
●粗大ゴミ:なし
●観られた鳥:ミヤコドリ15羽、ダイサギ、カモ類(淡水ガモ:オナガガモ・ヒドリガモ・マガモ⦅500以上⦆ 海ガモ:スズガモ)、ミサゴ(2)、カワウ、ハクセキレイ
●植物 花 :ウラギク、ハマサジ、アキノミチヤナギ
穂 :アシ、ダンチク、ヒトモトススキ、キンエノコロ、オギ
実 :アキグミ、マサキ、ナンキンハゼ、シャリンバイ、ノイバラ、ハマゴウ、ハマボウ
紅葉 :ハママツナ
今月からは、コロナの緊急事態宣言が解除されたので一般呼びかけを行いましたが、引き続き消毒液は守る会で用意し、注意して行いました。飲み物は各自持参をお願いしています。
宗像ゼミの学生や、企業からの参加も有り、思ったより参加人数が多かったです。
人工ゴミが意外に少なく、アオサも広場前にはあまり打ち上げられていませんでしたが、アシ原の入り口辺りにはアシに絡まったアオサや澪筋にも多くアオサが有りました。唐原川河口方面のアシ原の中の人工ゴミも少なかったです。
始める前に作業手順を説明し、ソリ、一輪車、リヤカー、それぞれがゴミ袋を持って作業に入りましたが、人工ゴミが袋いっぱいになっている人は少なかったです。
今回幼稚園児が4名ほどお父さんやお母さんと一緒に参加してくれました。干潟を楽しんでもらった様子でした。参加された皆様お疲れ様でした、有難うございました。
参加者の感想:人工ゴミが少なかった。アオサが多かった。海が見えて良かった。又参加したい。
和白干潟では、ウラギクの花が満開です。今年の花は色が濃くて花は小ぶりに感じました。海の広場前やアシ原中道には7~80センチに大きく育ったものもあり、良い香りを漂わせていてとても綺麗です。
ハママツナももうすぐ真っ赤に紅葉します。目立たないのですが小さな花や種を幹いっぱいに付けていました。広場周りには、紅葉するハマボウの木が増えており、ナンキンハゼも大木になっています。
また可愛いスズメウリが小さな実を付けていました。伸びた草には沢山の小さな虫たちがいます。まだウスバキトンボも飛んでいました。
鳥では、ミヤコドリやクロツラヘラサギ、サギ類、ミサゴ、カワウ、は毎日見ることが出来ます。カモ達も増えてきました。これからは普段見なれない鳥たちも立ち寄ってくれます。
カラスは毎朝食事をするために山から下りてきて、夕方には集団で山に帰っています。越冬する鳥たちが増えてきて、和白干潟らしい風景が見られて、嬉しいです。
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山本廣子
2021年10月10日 -晴れ-
【観察鳥種】25種
【参加者数】16人 守る会6人
【担当者】 山本廣子、田辺スミ子、南のり子
【コース】 和白川河口→塩浜護岸→五丁川河口→奈多護岸
10月なのに気温32度の真夏の暑さです。ミヤコドリが雁ノ巣に来たので、奈多方面に向かいました。中潮で満ちがけの潮でした。
和白川河口から唐原方面にオナガガモの小群が見えました。カワウが鉄線に並んで止まっています。サギもいます。棒杭に止まったミサゴも多めでした。干潟でハクセンシオマネキを見ました。
塩浜護岸の生垣のシャリンバイの実が赤く色づいてきました。トベラやセンダンの実も大きくなりました。アキノノゲシの花がたくさん咲いていました。
ススキの穂がきれいでした。海にはだんだんアオサが多くなってきました。五丁川にはクサフグがたくさん泳いでいました。イソヒヨドリの雌が棒の先で上を向いてじっとしていました。
奈多の見晴台からは雁ノ巣にいるミヤコドリの群れが確認できました。電線にはモズが止まっていて色んな声で鳴きます。奈多のクリークでイソシギとソリハシシギに会いました。
暑いので、まだ渡りの鳥が見られます。棒杭の上でアオサギがポーズをとっていました。カイツブリが1羽出現し、皆を喜ばせました。道端のクコの花がきれいでした。
鳥合わせ後には、雁ノ巣方面に歩いてミヤコドリを見に行く人が多かったです。ミヤコドリのそばにクロツラヘラサギが来て、ラッキーでした。
帰り道に五丁川のカネンテでカワセミにも会いました。ゆっくり見ると色んな鳥や生き物がいるものですね。
【参加者の感想】
◇ミサゴが見れて良かった。
◆カイツブリが可愛かった。
◇ミヤコドリが来てくれて嬉しい。
◆ハクセンシオマネキが見れて良かった。
◇クサフグがたくさんいた。