2015年度連携活動
2014年度連携活動
2013年度連携活動
2012年度連携活動
2011年度連携活動
2010年度連携活動
「バードウォッチングin和白干潟2015」報告
今村 恵美子
日時:2015年12月5日(土)13:00~14:30 うす曇 小潮:満潮17時33分
場所:和白干潟海の広場
参加者:35名 港湾局2名、WF1名、守る会6名
師走になってから気温も低く、荒れ模様の日が続いていましたが、和白干潟保全のつどい主催の「バードウォッチングin和白干潟2015」は少し寒さも風も緩んで、時折陽も射しまずまずの観察日和でした。アオサは大分減って、匂いも少なく、ほっとしました。山之内さんと荒牧さんがパイプを組立て渡り鳥の写真を並べ準備しました。前日までの寒さと時雨模様に、参加者は少ないかもしれないと予想していましたが、昨年を上回る家族連れなどの参加がありました。
<開会の挨拶> <バードウオッチング>
1時から開会し、進行はWFの松本さん、鳥の解説は守る会の山本さんが担当し、紙芝居を使って詳しく説明しました。続いて「渡り鳥ビンゴ」は、港湾局が説明。あらかじめ今日見ることができる鳥を予想して鳥シールを台紙に貼り、のちに鳥合わせをした結果、賞品がもらえる仕組みです。
<バードウオッチング> <干潟のカモたち>
30分あまり、守る会メンバーの持参した望遠鏡や港湾局が貸し出した双眼鏡などで、バードウォッチングを続けました。ずいぶん探しましたが、あいにくミヤコドリもクロツラヘラサギも見ることができず、残念でした。それでも真っ黒な塊に見えるたくさんのカワウ、コントラストのはっきりしたツクシガモ、ダイシャクシギ、たくさんのカモ類を観察でき、皆さん満足そうでした。
<上空を飛ぶミサゴ> <奈多のスズガモ>
最後の鳥合わせは、山之内さんが39種の鳥類リストを一つ一つ読み上げてチェックしていきましたが、ツクシガモ、ダイシャクシギなど19種を数えました。ビンゴの数が多かった人から、和白干潟の四季の写真下敷きから好きなものを選ぶことができました。山之内さん撮影制作の下敷きは色々なバージョンがあり、大人も子どもも楽しそうに迷いながら選んでいました。振り返りでは、感想を聞きましたが、「これまで鳥にはあまり興味がなかったけど、実際に望遠鏡や生で見て、関心が湧いた」という学生や、「たくさんの種類の鳥がいることがわかってよかった」と言う子どもの声もありました。
参加賞は、山之内さんの撮影した写真で、一人1枚の制限ですが、もっとほしいとねだる年配の男性もいて、好評でした。
日がかげると寒さを感じる天候でしたが、みんな最後まで熱心に観察して楽しんでもらえてよかったと思います。
<カワウの群れ>
観察された鳥:ヒドリガモ、カルガモ、オナガガモ、ツクシガモ、ヨシガモ、オカヨシガモ、ハシビロ
ガモ、マガモ、スズガモ、ホオジロガモ、カンムリカイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、ミサゴ、トビ、ダイシャクシギ、ハクセキレイ
香住丘小学校5年生の体験学習で講演
「和白干潟を未来へ!和白干潟の自然と環境保全活動」報告
河上 律代
日時:2015年11月5日(木)8:50~10:25
参加:香住丘小学校5年生4クラス163名と先生4名
和白干潟を守る会:3名
香住丘小学校を荒牧さんと私は初めて訪ねました。大きな木々に囲まれた坂の上の良く陽のあたる、明るい学校でした。163名の生徒は1時間半の長い間途中休みもなく、静かに山本さんのお話を聴きました。「メモしないで、よく聴きなさい」との先生の注意も新鮮でした。
山本さんは子供時代に和白干潟で水泳ができ、生き物が豊富だったこと話しました。1988年その干潟が埋め立ての危機にあい「和白干潟を守る会」を結成して、埋め立てを反対し、干潟の保全を27年間みんなの協力でやってきました。
和白干潟は貴重な自然海岸の干潟で、渡り鳥たちの重要な中継地、越冬地であり、塩生植物も多く、また干潟のカニ、カイ類などたくさんの生き物が棲んでいることを、切り絵やスライドを使って熱心に説明しました。
<講演の様子1> <講演の様子2>
最近の新たな活動は、立花山、唐の原川、和白干潟に関わるグループと連携した清掃などの保全活動。海底湧水観察などを行ってきました。また湿地保全のためにラムサール条約登録を目指していることも話しました。「私たちの生命にとって大切な地球の自然を守ることや、守りたい気持ちを他の人たちに伝えることも大切なことだと思います。是非みなさんも自分に出来る自分らしいやり方で環境保全活動を行ってほしいと思います。」
<講演の様子3>
山本さんの素晴らしい講演でした。この晴れた日に、これからみんなで干潟に行って観察したらどんなにいいだろうと思いました。この小学校は和白干潟に近いので、干潟見学をしてありますが、ぜひ和白干潟を守る会のお世話で和白干潟観察会を開いてほしいですね。現地で生きものに触れ合いながら話しを聞くと、実感として心に残ると思いました。
「アオサのお掃除大作戦!!2015」第3回 参加報告
今村 恵美子
日時:2015年10月10日(土)14:00~16:00
場所:和白干潟海の広場
参加:約50名 守る会5名
アオサ回収量:182袋
午前中の山・川・海の流域会議主催「和白干潟の探検」に続いて、午後は保全のつどい主催「アオサのお掃除第3回目」これが、今年の最後の大作戦となりました。さいわい程よい天候に恵まれ、熱中症対策のテントを立てる必要もなく、予想以上の人が参加されました。
おそろいの「きれいな博多の海」と書いたさわやかな水色Tシャツ姿の建設会社の若い社員の方たちが10人あまりと作業服姿の港湾土木会社の若い方たちが数人、循生研に堆肥づくりなど指導してもらっている九産大生数人、一般参加の方々も中央区や博多区からの親子連れやご夫婦、昨年から皆勤のご夫婦、毎年、毎回の常連さんでクリーン作戦でも常連の椋木さんも集まりました。
14時開会で、松本さんの挨拶のあと、藤井さんのアオサのミニ勉強会があり、「1円玉大の小さなアサリは生後3ヶ月くらいで、和白干潟にはたくさん生まれているが、1年もたたないうちに死んでしまう数が多い。それはアオサが大量に覆ってしまうので育たないからだ」とアオサ回収の意義を話されました。
<アオサのはなし> <アオサ回収のようす>
山之内さんの回収方法の説明の後、そりを引っ張って海へ向かいました。今回もたくさんのアオサをいったん伏せたカゴの上で押して水を切り、ネットに入れてそりに載せ中継点に運びます。アオサをカゴに載せて絞りながら、小さなアサリがたくさんアオサに混じっているので海に戻すようお願いしました。30分あまりで回収は終わり、中継点で記念撮影、さらにもう一息がんばって、ゴミ置き場まで運びました。今回は人数的には多くはなかったのですが、たくましい若い男性が多かったため、効率もよく、大量にアオサ回収ができました。ソリやカゴを洗って広場に戻り、飲み物を取って、「干潟のいきもの観察会」です。
<アオサ回収のようす> <アオサを前に記念撮影>
藤井さんがあらかじめ採っておいたカニ(ケフサイソガニ、カクベンケイガニ、ユビアカベンケイガニ、アカテガニ、コメツキガニ、ヤマトオサガ二、ハクセンシオマネキ、アシハラガニ、クロベンケイガニ、ハマガニ)を10種類、アサリやオキシジミ、ソトオリガイ、ホトトギスガイ、サルボウなども見せました。子どもは一人だけでしたが、大人たちも楽しんで観察しました。
ふりかえりでは「アオサはヘドロと一緒にとってしまうので、海水に浮いた状態で回収した方がよいのではないか」「機械を使えば、簡単に取れるのではないか」などの意見や「楽しかった」「人数をかけても大変な作業と実感した、今後も機会があれば参加したい」「参加することに意義がある」などの感想が出され、「来年も来るぞ!という人?」と挙手を求めると圧倒的多数の人が元気に手を挙げてくれました。こういう体験者が増えれば来年からの参加者も増えると期待したいです。
和白干潟の探検(干潟にはどんな生きものがいるだろう?)報告
有江 圭子
日 時:2015年10月10日(土)11:00~13:00 中潮(満潮8:14 干潮14:14)
参加者 26名(守る会14名)、流域会議関係:6名、一般:6名(大人2、こども4) 天候:曇り
講 師:山本廣子(和白干潟を守る会代表)と守る会ガイド
主 催:山・川・海の流域会議
風があって少し寒いぐらいの中、唐の原川左岸干潟に集合しました。親子連れが3組で、子どもの参加が6名でした。山本代表から、立花山、唐の原川、和白干潟を対象とする「山・川・海の流域会議」の主催で和白干潟の様子を探検するというイベントの趣旨説明や和白干潟についての話があり、「山・川・海の流域会議」の代表代理として挨拶された南部さんから立花山の歴史や名前の由来を聞きました。バードウォッチングでは、クロツラヘラサギ、ヒドリガモ、ダイサギ、コサギ、オナガガモなどを見ました。
<和白干潟のはなし> <立花山のはなし>
<バードウオッチング> <クロツラヘラサギ>
唐の原川の方へ向かうとウラギクの花、ハマボウ、ハママツナなどがありました。河口までの途中にある水路にはアシハラガニやケフサイソガニがいました。ヤマトオサガニの複数の穴が繋がっていることを確認しました。絶滅が心配されているシバナには穂がついていました。秋に赤くなる塩生植物のイソホウキギが岸壁のところにありました。唐の原河口にはイソシギがいました。対岸にいるヤマトオサガニを望遠鏡で見ました。子どもたちは熱心にカニを見つけていました。
<ウラギクの花> <唐原川河口を散策>
<捕獲したカニ> <シバナ>
沖合に行き、アサリとウミニナを集め、浄化実験用のペットボトルに入れてもらいました。望遠鏡でクロツラヘラサギや杭にとまって魚を食べているミサゴを見ました。貝をとった近くの場所で集まり、みんなにそれまでにとったものを見せ、チェックリストで見たものを確認しました。貝の浄化実験用のペットボトルはいっぱいの貝で、水がきれいになっていました。
<干潟で生き物観察> <アサリとウミニナの浄化実験>
山本代表から和白干潟全体の概観(雁の巣、塩浜、保全地区の牧の鼻など)、アシ原、樹林帯の話を聞き、田中さんから樹林帯、干潟、牧の鼻の植物についての話を聞きました。感想を聞くと「カニをとったのがよかった」「いっぱいカニをつかまえた」と子どもたちにはカニが人気でした。「子どもさんも参加してすばらしかった」という言葉もありました。天気も悪くなく、豊かな自然を味わってもらい、山の恵みが干潟まで来ているという山・川・海のつながりを実感できたイベントでした。
<まとめのはなし> <記念写真撮影>
観察されたもの
野 鳥:カイツブリ・カワウ・ダイサギ・コサギ・アオサギ・クロツラヘラサギ5・マガモ・カルガモ・ヨシガモ・オカヨシガモ・ヒドリガモ・オナガガモ・ホシハジロ・ミサゴ・トビ・ミヤコドリ1・イソシギ・ダイシャクシギ・ホウロクシギ・ウミネコ・カワセミ・ハクセキレイ・ハシボソガラス・ハシブトガラス (24種)
生き物:アシハラガニ・アカテガニ・ケフサイソガニ・コメツキガニ・ヤマトオサガニ・ホンヤドカリ・アサリ・アマガイ・アラムシロガイ・ウミニナ・オキシジミ・ソトオリガイ・ホソウミニナ・ホトトギスガイ・マテガイ(貝殻)・マハゼ (16種)
植 物:クスノキ・センダン・ハマボウ・アオサ・オゴノリ・イソホウキギ・ウラギク・シオクグ・
シバナ・ハママツナ・アシ (11種)
「アオサのお掃除大作戦2015!」(2回目) 参加報告
今村 恵美子
日時:2015年9月12日(土)14:00~16:00
場所:海の広場
参加:74名(うち子ども63名) 港湾局3、WF1、循生研3、守る会6
午後から雨の予報で、小雨がぱらつき心配しましたが、無事終わりまで天気は持ちこたえました。13時10分、スタッフ集合。はじめに沖合いや中間点の目印ののぼりを立てたり、ネットやソリの準備をしました。受付は港湾局、守る会今村。14時から開会、WFの松本さんが挨拶となぜアオサを回収するのかの趣旨説明。アオサの回収方法は山之内さんが具体的に説明。
<アオサの回収> <回収したアオサを運ぶ>
14時15分から回収開始。待ちきれない子どもたちが泥をはね上げながら沖に向かいます。アオサの浮かんだ干潟を初めて歩くのは大変そうですが、3年くらい続けて来ている子どもたちもいて、なかなか要領をつかんでいました。アオサをすくいあげ、コンテナの上で押し絞りネットに入れ、3個くらいになったらそりに乗せて中間地点の仮置き場に運びます。
<中間地点で記念撮影>
実質30分~40分で、回収作業を終わりました。中間地点で写真撮影後アオサ置き場へ運びました。
回収できたのは全部で194袋。そのうち、100袋は循生研がアオサ堆肥にするため、トラックで運んでいきました。今回は人工島の菜園で使うのだそうです。残りは全部、浮羽の柿農家の小江さんがアオサ肥料にするため、運んで行かれました。お礼にとみんなに柿をたくさん持ってきてくださいました。アオサを有効利用されるケースが増えていくのはうれしいことです。
終わって、15時20分からミニイベントとして循生研の「アオサ堆肥講座」、「干潟の塩生植物」について山之内さんの紙芝居がありました。子どもたちには、あまり関心がないように見受けられました。子どもたちの感想は「アオサは臭かった」「魚やカニ、貝がいた」というところでした。実際干潟全体がヘドロ臭く、初めての経験では印象はよくなかったかもしれません。回収が大変でも、大切なことというのはわかってもらえたと思います。
唐原川保全区立ち上げ式「ふれあい環境教室」報告
今村 恵美子
日時:2015年8月30日(日)10:00~12:00
場所:九州産業大学工学部情報科学部棟1F及び唐原川
参加:32名 下原校区自治協議会2名、山・川・海の流域会
議10名,唐原川流域会議8名,一般参加大人3名、子ども9名(小学生7、幼児2)
天気予報では雨のち曇りの予想でしたが、幸い曇りでほどよい観察日和となりました。このイベントのお知らせが夏休み直前だったため十分に情報が行き届かず、対象となる下原校区の小学生の参加者は少なかったのが残念でした。
集合した教室の黒板には「唐原川保全区立ち上げ式」と大きく板書され、子どもたちも親もちょっと不思議そうな顔をしていました。チラシには「ふれあい環境教室」と書いてあっただけでしたから、戸惑ったでしょうね。企画、司会、講師はすべて唐原川流域会議の内田ゼミ生(野生動植物研究会)の皆さんががんばりました。
開会挨拶は、地元を代表して下原校区自治協議会会長の丸岡さんが「唐原川の保全区が決まった機会に自然を活かしたまちづくりをしたいと考えている。これまで川の清掃は年1回だけだったが、今後行事に取り入れていきたい」と語りました。続いて、共催の山・川・海の流域会議代表の松田さんが「ここに集まっている大人たちのように、みんな自然大好き人間になってほしい」と挨拶しました。
<丸岡会長の挨拶> <唐原川の植物説明>
続いて、パワーポイントを使って保全区と浚渫工事について説明がありました。なぜ、浚渫するのか、浚渫しない箇所はどういうところなのかを理解してもらい、唐原川には珍しい「フトイ」という植物があるので、それを保全区に移植しようという計画もあるとのことでした。唐原川の生態系についても鳥(カワセミ)、植物(オオカナダモ、セイタカアワダチソウ、ススキ、カラムシ、フトイなど13種)、生き物(ゲンジボタル、カワニナ、メダカ、カワムツ、ギンブナ、ドンコ、アメリカザリガニ、モクズガ二、テナガエビなど13種)についてスクリーンを見ながら一つ一つ詳しく解説がありました。
唐原川であらかじめ採集しておいた生き物たち(アメリカザリガニ、モクズガニ、カワムツ(ハヤ)、テナガエビ)などがミニ水槽に入れて展示してあり、その説明もありました。
<唐原川の生き物説明> <生き物観察>
室内学習を終えて「唐原川に行こう!」と外に出ました。学校では川の中に入るのは禁止されているので、こんな機会はまたとありません。胴長着用した7人の学生と、一人ずつすくい網を持たせてもらった子どもたち7人(全員男子)は、はしごを慎重に下りて、川に入りました。水かさは子どもたちのふくらはぎ程度ですので、心配はありません。お兄さんたちが大きな網を持って生き物採集のお手本を見せます。川の中の植物の下に隠れている生き物たちをすくうのは、なれないうちはなかなか容易ではありませんが、子どもたちの網の中に魚が入ると、歓声が上がります。2人が転んでずぶぬれになりましたが、怪我もなくすぐ立ちあがってついていき、ほっとしました。生き生きと川の中を動き回っている子どもたちの姿を見るとこれが本来の子どもの姿なんだと、保護者の方やサポートする私たちは、岸や橋の上から自分たちの子どもの頃を思い出しながら「気をつけて」「良かったね」など声をかけました。
<掃除をしながら植物観察> <生き物観察>
2箇所に仕掛けていた罠のうち1箇所にはたくさんの魚が入っていました。採集体験で採れたのはカワムツ、ドンコ、スジエビ、ヌマエビ、メダカ、カワニナ、モクズガニでした。折りよくカワセミも美しい青い背を見せて飛んでいきました。
<生き物観察> <捕獲した生き物>
教室に帰って、着替えをして、いきものビンゴで盛り上がりました。賞品は学生手作りの木の枝を削って作ったネイチャーペンシルでした。閉会の挨拶は香住丘自治協議会会長の中山さんで、ホタルの舞う唐原川にしていくために研究者の方を招いて調査してもらう予定で、ホタルを増やせるよう努力したいと締めくくりました。
<ビンゴ賞品を選ぶ> <中山会長の挨拶>
子どもたちの様子を眺めながら下原校区の自治協議会会長の丸岡さんも「これまで地域と市民活動や大学の連携についてよくわからなかったが、これで必要だと実感したのでがんばりたい」と話しておられ、私たちも心強く思いました。
今後の具体的な問題として、この保全区近くの市民の皆さんに「保全区であること、保全区の意義、守るためのマナーなど」の標示が必要ではないかと思いました。ぜひ行政、地域、大学、市民団体で協議していきたいところです。
「アオサのお掃除大作戦2015!」(1回目)参加報告
山之内 芳晴
◆日 時 : 2015年8月29日(土) 13:30~15:00 小雨
◆主 催 :「和白干潟保全のつどい」
◆場 所 : 和白干潟・海の広場沖
◆参加者 :28名(守る会:3名)
◆アオサ回収量 :約960kg(120袋)
小雨の降る中、行事が出来るかどうか心配されましたが何とか持ちこたえてくれました。
最初に藤井さんがアオサについて説明。最初は貝殻などに付着して成長し、ちぎれたアオサも根がなくても成長するとのこと。また、葉緑素が少なく、光を通しやすいこと、そのことが何枚も重ねても光を通しやすく、下層にあるアオサも太陽光を吸収して成長することなど、興味ぶかい話しもありました。
その後、沖合の回収場所に向かいました。アオサは余り多くなく、沖合いの波打ち際にはアオサはありませんでした。今回は、波打ち際から50メートルほど浜辺よりのところに旗を立て、その周囲のアオサを回収しました。
<アオサの回収> <回収したアオサを運ぶ>
参加者は多くはありませんでしたが若者がたくさんいましたので、アオサを回収する人、運搬する人に分かれて回収しました。
アオサは多くはありませんでしたが、下の方は腐りかけて異臭を放っていました。40分ほど作業を行って残ったアオサ袋をソリに乗せ、中継地点へ移動しました。ちょうど、中継地点に到着して記念撮影が終わった時、雨が激しく降り出しました。
<アオサの側で記念撮影>
全員で中継地点に積まれたアオサをソリに乗せ、ゴミ置き場まで運搬した後、全員で作業に使用したソリやプラスチックカゴなどを清掃しました。今回はミニイベントとして「干潟の生きもの観察」を予定していましたが、観察会は中止となりました。最後に参加者にスポンサーからのお菓子とスタンプカードを渡して散会しました。
「夏休み!和白干潟のいきものやハマボウを見る会」報告
今村 恵美子
日時:2015年7月26日(日)10:00~12:00
場所:海の広場~牧の鼻海岸
参加者:90名うち港湾局3、WF1,藤井講師F3、守る会16 F=ファミリー
今年の「和白干潟のいきものやハマボウを見る会」は台風が夕方から福岡に最接近という天気予報で、開催を心配しました。さいわい開催時間内は真夏の陽射しがぎらぎら照りつける中、大勢の親子連れなどの参加がありました。
関係者は9時集合、9時30分の受付前にはテントなどの準備完了。予想上回る参加者に用意した観察マップが20部も足りませんでした。受付では、山之内さんの撮影した干潟の鳥・植物・カニなどの写真をプレゼントしましたが、カニの写真が断然人気でした。また高田さんが種から育てた牧の鼻の「ハマボウ」の苗のプレゼントもしました。
10時10分に開会し、山本代表が干潟の生き物手袋でご挨拶。港湾局からの説明と注意の後、海の広場をスタートしました。観察ポイント①で干潟やアシの生き物の観察。講師は今年も九州環境協会の藤井さん。
アシハラガニ、アカテガ二、珍しいオカミミガイ、ダンゴムシのようなコツブムシなどを見せてもらいましたが、子どもたちは説明よりも足元のコメツキガニやアシハラガニを捕まえようと夢中です。観察ポイント②の唐原川左岸では、ヤマトオサガ二、ケフサイソガ二、シオマネキなどを観察。望遠鏡でハクセンシオマネキが大きな爪を振る様子を見ました。
<干潟の生き物説明> <捕まえたカニさん>
唐原川の河口の浅瀬を渡りましたが、ジャブジャブと水の中を歩くという体験に子どもたちは大変楽しいひとときでした。
<唐原川を渡る> <トビハゼ>
観察ポイント③の岩礁では、マメコブシガニのペアを藤井さんが見せて、どっちがオスかメスか質問し、卵を産むためにこんな違いがあるんだよと説明。また、脱皮しかけのガザミを観察しました。こんな状態を見ることはめったにないので子どもたちは真剣なまなざしでそっと手を出し、柔らかな甲羅や足に触っていました。波打ち際の水の中で「砂茶碗(スナジャワン)」を見つけた、とWFの松本さんが紹介。3cmほどの黒褐色の丸い固まりで、中空になっていました。
<スナジャワン> <ハマボウの花>
藤井さんによるとツメタガイの卵塊だそうです。粘液と泥などで外側を固めて卵を守っているようです。いよいよ観察ポイント④の牧の鼻「ハマボウ」に到着。主株はぐんと大きくなり、回りの株も成長し、たくさんのレモンイエローの花を見事に咲かせていました。暑さの中をここまでたどり着いた一行には、輝いて見えました。
<主株の周囲を測る> <全員で記念撮影>
早速主株の周囲や高さ、花の数や若木の数を数えます。直径は25m(昨年24.8メートル)高さは5.3m(昨年5m)、花の数は1050ほど。昨年は盛りを過ぎていたため400程度でしたが、今年はちょうど見頃でした。若木は250株(昨年は60株)で、大きく育っている株が多くなっていました。
また木々の周りには、芽を出した小さなハマボウの苗がたくさんありました。ハマボウの群落地になっていることが実感できました。
牧の鼻全体が保全地区であることから樹林の植物群が大切に保存され貴重な生態系を残していると、守る会の田中さんが解説しました。
一休みして記念撮影し、ゴミ拾いをしました。今年はアオサがかなり打ち上げ乾いていたので、それを主に拾ってもらいました。
<海岸のゴミ拾い> <アオサも回収>
最後に松本さんの振り返りで、感想を聞きました。子どもたちは「いろんな生き物に出会えて楽しかった」「ヤマトオサガ二を初めて捕まえた」など楽しかった声が聞かれました。「付近のマンションに住んでいて和白干潟の鳥や風景にいつも癒されている。ラムサール条約の話を知り、イランのラムサールに行って来た」「子どもの自由研究のために来たが、アサリ掘りだけでなくすごいところだとわかった」「楽しい企画を有難う。
参加して良かった」などの感想が次々と出され、好評のうちに、無事終わることができました。
新福岡空港ストップ連絡会総会講演「和白干潟のラムサール条約登録を目指して」報告
今村 恵美子
日時:2015年5月31日(日)10:00~12:00
場所:コミセン和白会議室
参加者:19名 守る会:5名
5月31日、コミセン和白で開催された第13回新福岡空港ストップ連絡会総会において山本廣子代表が「和白干潟のラムサール条約登録をめざして(和白干潟の自然と環境保全活動)」を特別記念講演しました。
新福岡空港ストップ連絡会は、和白干潟まつりにこれまで6年連続で展示で参加されている常連の市民活動団体です。新福岡空港建設計画の予定地に玄界灘相島沖が候補地として上がったときに、必要のない無駄な公共事業であり、自然環境破壊をもたらすとして反対運動に取り組んできた団体です。しかし、その後の経済状況などから現福岡空港の滑走路増設で対応できるということで新たな福岡空港建設はその後中止となりましたが、空港問題そのものがなくなったわけではなく、全国各地の空港問題と連携して運動を継続されています。
山本代表は、和白干潟近くで生まれ育ち、豊かな自然と親しんできたことを語りました。和白干潟を守る会を設立した動機は、博多湾の全面埋め立て計画に反対し保全するよう請願を出し、埋め立ては免れたものの人工島建設に変更されたことにある、と話しました。和白干潟の重要性と、保全のためのたくさんの活動、環境教育などについてパワーポイントを使って説明しました。とくに海底湧水については、知らなかった方がほとんどで、DVDを見ながら感嘆の声が上がっていました。和白干潟をラムサール条約に登録するための取り組みについても話しました。
<山本代表講演> <山本代表講演>
会場にはきり絵数点も展示、スライドできり絵の作品も紹介しながら、きり絵と出会ったことで、和白干潟の環境を守る活動がいっそう強化された経験から、誰もが自分でできる方法で、ふるさとの自然を守っていってほしいと強調しました。新福岡空港ストップ連絡会とは干潟まつりで、市民に問題提起していただいている、無駄な公共事業をやめさせ、環境を守りたい気持ちは同じと締めくくりました。
<荒木さん報告)> <脇さん挨拶>
新福岡空港ストップ連絡会は、今年度の活動方針に「和白干潟まつりに引き続き参加し、和白干潟をラムサール条約に登録するために、和白干潟を守る会と協働します」と掲げています。また、総会アピールでは「記念講演で和白干潟問題について知見を新たにし、自然環境保全が人類の持続的発展にとってどれほど大切であるかを学んだ。空港問題もまた優れて環境問題でもあると自覚している私たちにとって、原発問題も含め、環境保全は生存にかかわる重大な問題であることを改めて認識する機会となった。和白干潟をラムサール条約に登録させる活動も、私たちの課題として位置づけたいと思う」と言及されていました。総会では、議事のほか、世話人である荒木市議の「福岡空港の滑走路増設と民営化問題」についての特別報告もあり、昨今の国の安保法案の動きを見れば空港がいつ軍港化するかわからない不安も含め、市民がもっと関心を持つ必要性を感じました。
改めて、和白干潟を守る会の活動が様々な運動と連携して、環境を守る大きなつながりを持っていること、互いに励みになっていることを自覚させられた良い機会となりました。初めて新福岡空港問題ストップ連絡会総会に参加した守る会の皆さんはどう感じられたのでしょうか?環境問題の他の会とも連携していくということについて、考えていきたいと思いました。
第3回「唐原川お掃除し隊」報告
今村 恵美子
日時:2015年5月30日(土)10:00~12:00 曇り時々小雨
場 所:唐原川下流域(唐原西公園~唐原川河口)
参加者:48名:
筑前立花会2名、楽友会2名、立花山グリーンガイドの会2名、唐原川を考える会・香住丘自治連合会8名、香椎来い2名、九産大21名、和白干潟を守る会11名
天気予報が午後からの雨を予想していた中、予報より早く雨がぽつぽつ降り出しましたが、掃除には支障なさそうなので、決行しました。唐原西公園には総勢47名が集まりました。
道具は、松田さんが区役所から借りた金ばさみ、提供されたゴミ袋など準備、山之内さんも港湾局倉庫から借りたスコップなど運び込み、中山さんはじめ地元自治会がはしご、鉤付きロープ、胴長など用意。
九産大から内田ゼミ、北山ゼミの先生と学生たちが胴長持参で参加。中には、HPを見て久留米から参加したという一般の学生もいました。彼も香住丘自治会の胴長を初めて着用しておぼつかない足取りでアシを掻き分けてがんばってくれました。
<清掃前記念写真(唐原西公園)> <川中の掃除>
今年は3班に分けて、1班は唐原橋~外輪崎橋(リーダー松田)、2班は外輪崎橋~浜田橋(リーダー中山)、3班は浜田橋~河口(リーダー山之内)で掃除開始しました。
昨年河口~外輪崎橋周辺は泥の中に不法投棄物が埋まっていても人手不足で除去できなかったため、若い学生さんたちにお願いして、この区域中心に川に入ってもらい、ゴミを徹底的に掘り出しました。
<川中の掃除> <大型ゴミの回収>
川底からは、次々と思いもよらないゴミが現れ、それを岸まで引き揚げるのが大変な作業でした。中でも泥に埋もれていたカーペットは、鉤付きロープで引っ掛けて揚げようとしてもあまりの重さに簡単にはいかず、2本のロープを使い、何人もで掛け声をかけながらようやく引き揚げることができたほどでした。また、丸太も何本も見つかり、ゴミ置き場まで運ぶのも大変でした。
<丸太棒の引き上げ> <回収したゴミ>
パソコンやバッテリーなど重量がある上、持ちにくく、岸に持ってくるだけでも一仕事、鉤もかけられないとあって、ロープで引き揚げることもできず、一人がはしごを上りながら重いゴミを持ち上げ、手渡すなど、想像以上にハードな作業が繰り返されました。
昨年は泥と悪戦苦闘した守る会の高田さんは城南区から息子さんを誘っての参加でした。また、守る会の山本さん、田辺さんは長靴で川底に下りて、元気な女性パワーを発揮しました。
こんな大変な作業で迷惑をかけているなんてゴミを捨てた当人たちはまったく想像もできないでしょう。ゴミの不法投棄を絶対にさせてはいけない、と痛感した次第です。この経験を参加者みんなが、周囲に語って啓発することが必要でしょう。
終わって沿岸を歩いてみると、なんとすっきりしたことでしょう!今回の参加者・老若男女一人一人が、本当に一生懸命がんばった成果だと思いました。九産大の皆さんは実に頼もしく、環境を守ろうという若者がたくさんいてくださることを大変嬉しく思いました。ともにこの環境を守っていこうという思いが強まった取り組みでした。西日本新聞記者の取材もありました。
松田さんが最終的に見回って結局、回収したのは燃えないゴミ47袋、燃えるゴミ27袋でした。他に材木5本、タイヤ2本、ジュータン1枚、鉄パイプ277本、旗竿3本、傘1、土管1、釣竿、電線、鉄板各1など。自転車2台、バッテリーも3個、ホイール、パソコンは各1とのことでした。
皆さん、本当にお疲れ様でした!!ありがとうございました。
2015年度日本湿地ネットワーク総会・交流会報告
田中 浩朗
日時:2015年3月28日(土)13:10〜14:00(総会),14:10〜16:30(交流会)
場所:港勤労福祉会館 和室(東京都港区)
出席者:14名(守る会2名)
守る会山本廣子代表が運営委員を務める日本湿地ネットワーク(JAWAN)の総会とその後の交流会に,関東在住の守る会会員である中野悠紀子さんと二人で出席しました。日本の湿地関係団体のネットワークということで,もう少し大きな集まりを想像していましたが,私たちを除きほとんどが役員と事務局の方たちでした。
1.総会
2014年度の活動報告・決算,2015年度の活動方針・予算・役員が審議され,すべて原案通り承認されました。2014年度は3月に広島市で総会とシンポジウムを開催しましたが,2015年度は単独でのシンポジウムは企画しないということでした。「干潟・湿地を守る日」のキャンペーンは2015年度も継続していくということです。2015年度は「JAWANの存在意義を示す活動を活発に」を重視することになりました。
<JAWAN総会&交流会>
JAWAN内部の話としては,運営体制と財政基盤の強化が2014年度から進められているようです。2013年度まで減り続けていた繰越金は2014年度から増加に転じ,今後も繰越金は増えていく見込みです。2014年度に,加盟する意味の薄い国際自然保護連合(IUCN),IUCN日本委員会,日本国際湿地保全連合(WIJ)を退会し,その会費8万円余りを節約したという報告もありました。
2015年度の役員人事ですが,大きな変更点の一つは,山内美登利さん(日本野鳥の会徳島県支部)が共同代表を辞任し,代わりに,事務局長だった牛野くみ子さん(千葉の干潟を守る会)が共同代表となったこと(もう一人の共同代表は,藤前干潟を守る会の辻淳夫さん)。もう一つの大きな変更点は,水間八重さん(泡瀬の干潟で遊ぶ会)が運営委員を辞任し,梅村幸稔さん(藤前干潟を守る会)と若槻武行さん(環瀬戸内海会議)が運営委員になったこと。新たな事務局長には,それまで運営委員・事務局員だった中山敏則さん(千葉県自然保護連合)が就任することになりました。運営方法としては,運営委員会と事務局会議をそれぞれ年2〜3回程度開き,議論が必要なものは運営委員会で議論することになりました。
2.交流会
総会に引き続き,交流会が開かれ,以下の各地から報告が行われました。
(1)吉野川河口干潟(日本野鳥の会徳島県支部 山内美登利)
(2)和白干潟(和白干潟を守る会 田中浩朗)
(3)瀬戸内海(環瀬戸内海会議 若槻武行)
(4)盤洲干潟(小櫃川河口干潟)(小櫃川河口・盤洲干潟を守る連絡会 御簾納照雄)
(5)三番瀬(千葉の干潟を守る会 牛野くみ子)
(6)九十九里浜(千葉県自然保護連合 中山敏則)
(7)藤前干潟(藤前干潟を守る会 梅村幸稔)
(8)中池見湿地(ウェットランド中池見 笹木智恵子)
和白干潟については,山本さんから送ってもらったスライドをもとに,次のようなことを報告しました。観察会やクリーン作戦の活動は近年参加者が増えてきていること,ラムサール登録をめざして署名運動を進めていること,それにもかかわらず行政の動きはにぶく,今後は議会への働きかけを進めようとしていること,また最近海底湧水が発見されたこと。質疑では,アオサのことについて質問されました。谷津干潟でも大量のアオサが発生しているため,関心が高かったようです。
各地の報告で印象に残ったのは,各地で不必要と思われる開発計画が後を絶たず,自然が破壊され続けていることです。具体的には,四国横断自動車道の吉野川渡河橋計画,三番瀬の第二東京湾岸道路計画,九十九里浜のヘッドランド(人工岬),北陸新幹線中池見ルート計画などです。中池見湿地近くのトンネル工事が山体地下水の流れを変え,中池見湿地への湧水の供給を減少させるという話は,和白の海底湧水の話とつながり,興味深かったです。
それぞれ10分以内という制約があったにもかかわらず,交流会での各地の報告はどれも興味深く,JAWANの存在意義を感じさせるものでした。
ラムサール登録を求める署名提出報告
今村 恵美子
日時:2015年1月29日(木)14:00~14:40
場所:福岡市役所9階市長室秘書課応接室
参加:市役所4名(市長室 牧園秘書課長、環境局 環境監理部 久保環境調整課長、職員2名)
守る会10名
和白干潟のラムサール条約登録を求める署名を2012年秋から開始し、2013年第1次集計6,728名分を2013年12月に提出しましたが、引き続き2014年度に取り組んだ第2次集計分2,995名分を市長宛に提出しました。総計で9,7233名分となりました。
目標1万人をめざしていましたが、わずかながら達成できませんでした。全国の皆様からご協力いただいたことに感謝します。なお、環境大臣宛の署名は2,940名分、第1次集計と合わせ、総計9,558名分でした。
今回は望月環境大臣宛に郵送しました。
市長は相変わらず多忙で、市長宛の署名簿を秘書課長に渡し、要望書を山本代表が読み上げました。関係部局の環境局環境調整課長が同席し、質問に答えるという形で進行しました。
<提出署名> <要望書を読み上げる>
前回の署名提出には、市長室長しか対応してくれませんでしたが、今回は要望したところ、環境局が同席して、山本代表はじめメンバーの様々な質問や意見に答えるなど意見交換できたことは評価できます。
<署名を提出> <環境課長と意見交換>
意見交換の主な内容については以下の通りです。
「なぜ、和白干潟のラムサール登録が進まないのか?どうすればラムサール登録が進むのか?」との質問には、「環境省の特別鳥獣保護区としての要件が充たされていないことにある。地元住民の合意が取れていない。市としては和白干潟の重要性は承知しているので、市民全体の認識が重要で住民に環境基本計画を浸透させ、干潟の価値や、誇りであることを理解してもらうことが必要。」との答でした。
これまでもそのような答えが続いており、進展がなく、具体的な市の取り組みも見えていません。そこで守る会としては、「和白干潟を特別鳥獣保護区にすることに反対の人たちとの意見交換の場もない。特別鳥獣保護区域は畑や道路計画のあるところではないにもかかわらず、反対されていることの理由が知りたい」と質問すると、「近接するので開発が規制される、と懸念されているようだ。干潟の価値を誇りと思えるような取り組みをしっかりやっていく必要がある」との答を繰り返しました。
さらに「野鳥公園とセットで、ラムサール登録を考えているか」と言う質問には、「鳥獣保護区には野鳥公園は含めない。ベースは住民の合意だ」とのこと。「市民の理解が浸透するということは具体的にどう把握するのか」の問いに明確な答はありませんでした。
私たちは「住民の合意というが、具体的な形に表れているのがこのたくさんの署名ではないのか」と指摘しました。それには「合意は文書にはなっていない。議会などで明らかにされる」との答でした。すなわち「議会として意見がまとまれば合意とみなす」と言う意味になります。
また、和白干潟の現状について「漁業権がないため、業者によるアサリの乱獲を規制する罰則を伴った法的な根拠を急いでほしい」と求めました。それに対し「生物保全という意味で関連部局と連携して守っていく取り組みをしていきたい」との答でした。ウェイクボードの走行規制も守られないことについては「業者と協会の話し合いが必要」とのことでした。
アオサの問題については、「以前より水質は徐々によくなっているが、都市部であるので生活排水の流入は特徴的なもの。」との答でした。最後に和白干潟については「自然海岸の残っていることは非常に重要と認識している。地元の人が積極的に守っていかないといけないし、市の取り組みも未だ点でしかない。これから線になり、面になっていくよう努力する。」とのことでした。
私たちは、次回の干潟まつりにはぜひ実際に来て、見て、メッセージを読んでほしいと要望し、そのことは一応受けてもらえたと思います。
最後に山本代表が、2015年6月のラムサール条約締約国会議で登録されるよう早急に取り組んでいただき、市とともにウルグァイに出席できるよう願っていると、要望しました。
これらの意見交換から、環境局が和白干潟は大切で、市民に理解してもらいたいと考えていることは理解できましたが、市全体としては開発優先の姿勢があり、開発で利益を得られる住民の声が重視されていることが、ラムサール登録を妨げ、環境局だけではなかなか先に進めることができないことがわかりました。
今後、市民で取り組むべきは何かといえば、この和白干潟の自然環境を保全する努力を続け、議員の意識を変えるよう働きかけることではないかと痛感しました。
西日本新聞の記者の取材があり、翌日の朝刊に掲載されました。